でかい蚊のような虫のガガンボはその大きさから、出くわすとびっくりしてしまうこともあるかと思います。
夜に窓や扉を開けていたりすると部屋の中に侵入することもあり、虫嫌いな人にとっては恐怖を感じるかもしれませんがガガンボとは一体どんな虫なのでしょうか。
でかい蚊のような虫のガガンボとは?
ガガンボはでかい蚊なのか
ガガンボ(大蚊)
- 節足動物門
- 昆虫網
- ハエ目(双翅目)
- カ亜目(糸角亜目)のガガンボ科に分類される
世界中に生息しており形は蚊のようであっても、蚊に比べてひとまわり以上大きい形をしています。
ガガンボを漢字にすると「大蚊」と書きますが「蚊」とは近縁性はあっても別の種類になり、ガガンボ科として日本だけでも700種ほどが確認されています。
また、カトンボと言われたり、地域によってはイネキリムシやアシナガ、カノオバなどと呼ばれているようです。
ガガンボはどのような生態か
幼虫期
幼虫期は種類によって水中や土中で過ごします。
キリウジガガンボなどの幼虫は地中で成長する間、イネの根を食べてしまいます。
他のガガンボの幼虫の中にはほうれん草やキャベツの葉なども食べてしまう種類もいますので、水田や畑の周辺でガガンボの成虫を発見したら駆除の対象として対策を考えた方が良いかもしれません。
したがって農業者にとっては害虫とみなされます。
成虫期
ガガンボの成虫はでかい蚊のような見た目に似合わず、花の蜜が主食になり寿命は10日ほどと短命です。
蚊の成虫の寿命は種類にもよりますが、平均して1ヶ月前後あることを考えてもガガンボの寿命はなんとも儚いですね。
飛行速度も基本的に人が簡単に捕まえられるほど遅く、手で払っただけで瀕死状態になってしまうほど弱い体で脚や羽が簡単にもげてしまいます。
まれに身の危険を避けるために機敏になることもあるようです。
ガガンボの成虫による被害
ガガンボの成虫は光に誘引されやすく室内にそのまま侵入してくることがあり、外に出られないまま棚の裏などで死んでしまうことも珍しくはありません。
体は死骸になった場合も簡単にバラバラになりやすく、製造工場の生産ラインなどに死骸が異物として混入する恐れがあります。
ガガンボの名前の由来
ガガンボという名称はどこかコミカルな印象もありますが、蚊の母「蚊ヶ母(カガンボ)」が訛って「ガガンボ」となって普及したものとされています。
ガガンボは刺す?
ガガンボはでかい蚊のように見えますが蚊と違い刺しません。もちろん、吸血されるような被害はありません。
成虫の主食は花の蜜であり人への直接的な害はなく、むしろ人が近づくと逃げようとします。
ガガンボの種類
日本国内に生息する代表的なガガンボを見ていきましょう。
ミカドガガンボ
大きさは30mmから38mm前後で国内のガガンボの中でもひときわ大きく山地の森林などに生息して湿地を好み、人が近づいた時などは羽音を大きく立てて逃げます。
キリウジガガンボ
大きさは14mmから18mm前後で都心部で見られることも珍しくはなく、多くは畑や水田付近に生息して幼虫は植物の芽や根だけでなく腐った植物なども食べます。
幼虫がイネなどの根を食べることから農業の害虫になることがあります。
ベッコウガガンボ
大きさは13mmから17mm前後で体と脚、羽が黒色とオレンジ色の2色構成になっており平地から山地に生息しています。
ホリカワクシヒゲガガンボ
大きさは15mm前後のベッコウガガンボに似たような色味を持っていて、ガガンボの中でも派手な印象があります。
見た目には蜂にも雰囲気が似ていますが、ガガンボなので人を刺したりすることはありません。
本州、九州などに分布して雑木林などに生息。
ガガンボがかわいそうと言われる理由
ひ弱なカラダ
ガガンボは何気なく捕まえようとして細長い脚を掴んだりすると、簡単に折れてしまったりもげてしまったりします。
ガガンボを捕まえる場合は、かなりデリケートに扱ってあげなければならないということですね。
季語に使われるガガンボ
ガガンボは夏の季語として俳句などに読まれることがあり、そこにはガガンボに対する体のひ弱さや生態の儚さを見ながら季節を感じ取っているようです。
俳人として著名な高浜虚子(1874年~1959年)はガガンボを季語として扱った俳句を残しています。
「ががんぼの脚の一つが悲しけれ」
細長い棒のようなゴミが落ちているかと思ったら、実はガガンボのもげた脚だったことに悲哀が込み上げたのでしょうね。
見た目で嫌われてしまう
ガガンボはでかい蚊のような見た目から嫌われることが多いようですね。
ツイートでもガガンボの生態に対して花の蜜という主食と寿命が短いということに同情を寄せています。
咄嗟に蚊と間違われる
蚊!と思って叩いたら小型のガガンボだった。かわいそうなことをしたな。(´・・`)
— てぃーだ針金の人(フォローはプロフ見てから) (@Thida_Laxmi) May 13, 2015
ガガンボは急に視界に入った場合などで蚊と間違われることもあるようです。
見た目もでかい蚊のようなわけですから、仕方ない部分もありますね。
光に誘引されやすい
真っ暗な台所で何かを踏んだ 明かりをつけてみると、でっかいガガンボが潰れてた かわいそうなことをした
— おまつ (@omatsutyan) May 28, 2011
光に誘引されて室内に侵入したのかもしれませんね。
台所の床にいたということはガガンボが既に弱っていた可能性もありますね。
室内に侵入してしまって人に気付かれないまま短命である寿命を迎えることも珍しいことではありません。
ガガンボの死骸はバラバラになりやすいので室内に侵入した場所次第では片付けが厄介です。
名前から持たれるイメージ
@77rgasha ガガンボ科(笑)
— 藤 優子 (@fuji9_y) June 1, 2015
かわいそうかはわかんないけどガガンボって名前聞くとかわい過ぎて吹きそうになる
ガガンボという名前や響きが持つ印象をツイートしてますね。
強うそうな名前ではなく、印象通りの生態なのかもしれませんね。
風圧にもデリケート
@marusankak 強い息で死ぬワロタwwなんだかガガンボがかわいそうになってきた…今水に濡れてぐったりしてて多分死んでる
— みこ (@_____mico) November 22, 2015
ガガンボは飛行能力も弱く強い風には耐えられないようで、このツイートではガガンボに向かって強い息を吹いたのでしょう。
華奢な体で墜落して、水のあるところに落ちてしまったんですね。
ガガンボを駆除する方法
ガガンボは光に誘引されやすいので外灯や部屋の明かりに反応して、玄関や窓などから室内に侵入したりします。
できれば室内に侵入して欲しくありませんが、万一ガガンボが室内に侵入してしまった場合の駆除の方法をいくつかご紹介します。
直接たたく
ガガンボは室内に侵入して駆除する際に、もともと飛行速度も遅いので捕まえることもそう難しくはないと思います。
手っ取り早く駆除するのであれば新聞紙などを丸めて叩いてしまっても良いでしょう。
触ることに抵抗がなければ手で掴んだり叩いたりもできると思いますが、羽や脚が脆くバラバラになりやすいので後片付けが少々面倒になるかもしれません。
殺虫剤で駆除する
ガガンボは人に直接的な害を与えることはなくても、見た目に不快を感じたり恐怖心を持ってしまったりすることもあるでしょう。
叩いて潰すことに抵抗があれば、殺虫剤を使用して駆除するのがスムーズかもしれません。
殺虫剤を吹き付けるときにあまり近すぎると、ガガンボの体がバラバラになってしまう可能性がありますので少し離れた状態でスプレーすると自然に落下します。
そんな時は天然成分由来の殺虫剤なら安心です。
掃除機で吸い込む
叩いて駆除した場合は後片付けが面倒ですが、掃除機を使ってガガンボを吸い込んでしまうやり方も有効です。
殺傷能力が確実な殺虫剤でもスプレー時の使用環境などに抵抗がある場合、掃除機であれば臭いも気になりませんし後処理も楽になります。
ガガンボが手の届きづらい天井などにいる場合も掃除機のノズルを向ければ、簡単に吸い込むことが出来るでしょう。
ガガンボを侵入させないアイテム
遮光カーテンをつける
ガガンボだけに限らず光に誘われて室内に侵入しようとする虫類は非常に厄介ですので、部屋の明かりをなるべく外に漏らさないためにも対策として遮光カーテンは一つの有効な手段となります。
網戸を確認する
何気に使っている網戸は劣化が原因で、隙間や穴が開くことでそこからガガンボなど侵入していることもあります。
網戸に穴が空いていたり破れていたりしないかを改めて確認してみましょう。
忌避剤(虫除け)を使う
忌避剤(虫除け)にも窓や網戸、玄関の外灯などに直接スプレーするタイプや窓や扉に吊るすタイプなど様々な種類があります。
使用環境に合わせて選んだり、スプレータイプと吊るすタイプとの併用も良いでしょう。
でかい蚊のような虫/ガガンボのまとめ
今回はでかい蚊のような昆虫であるガガンボについてお話ししてきました。
ガガンボについてまとめると
- ガガンボは人を刺したり血を吸わない
- 成虫の主食は花の蜜
- 飛行速度が遅い
- ガガンボの幼虫にはイネの根などを食べるので農業被害の対象になることがある
- 寿命は10日ほど
- 成虫は華奢な体で羽や脚はもげやすい
- 人への害はないのに見た目で嫌われやすい
- 死骸はバラバラになりやすい
人への害がなく華奢な体で短命なその生態から、ガガンボはかわいそうだと思われているようです。
室内に侵入してしてしまって駆除する際は仕方ないかもしれませんが、なるべく部屋に侵入させない対策をしてガガンボには限られた寿命を全うさせてあげたいものですね。
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