濡れた本を冷凍で復活させようとして、失敗してしまった経験はあるでしょうか。
ここではジップロックに入れて、冷凍庫で乾燥させる方法をご紹介します。
今まで濡れた本の復活で失敗したことがある人は、ポイントを抑えれば失敗なくできますのでご参考にどうぞ。
本が濡れるとよれよれになる理由
そもそも濡れた本がどうして乾くとよれよれになるのでしょうか。
その理由は紙の特性によるのだそうです。
紙は濡れると伸び、乾くと縮むから濡れたまま放置してしまうと伸びた状態の形で乾いてしまい、それがよれよれになる原因になります。
その性質を逆手にとって、乾く前にいい状態にしておくことで乾いた時によれよれにならなくなるわけです。
しかしその方法も、コツを抑えて行わないと失敗してしまいます。
詳細は次の通りです。
濡れた本を冷凍して失敗する原因
冷凍前に水分を十分取らなかった
あまりにもびしょびしょに濡れていると、冷凍後の解凍段階で水分が残ってしまい、それが原因で失敗してしまうことがあります。
冷凍前には、タオルなどでできる限り水分を吸い取っておきましょう。
その際無理にページをめくらないようにし、表面の水分のみ吸い取ります。
こするのも良くありません。
冷凍が十分ではなかった
冷凍する時間の目安は24時間。
たいていの厚さの本はこれで完全に冷凍されます。
しかし待ちきれずに完全に凍る前に取り出してしまうと、失敗してしまいます。
ページをめくってしまった
上述のように冷凍前にできるだけ水分を取り除くことは大切ですが、うっかりページをめくってしまうと敗れてしまう事も。
ページは無理にめくらないようにします。
冷凍して水分を飛ばすことで、自然にページも離れるので大丈夫です。
圧縮が不十分だった
図書館では本の修復用に圧縮する機械(手機械)がありますが、一般家庭にはまずありませんね。
自宅で本を圧縮したい時は、平らな板2枚に挟んでおこないます。
板で本をはさんだらその上に漬物石など5~6㎏程度の重りを乗せます。
そして均等に圧がかかるようにすることが大切です。
圧縮及び自然乾燥の期間の目安は5日間。
本の厚みで誤差はありますが、5日は必要です。
ここで板がゆがんでいたり、板にかかる圧力が均等でないと失敗してしまいます。
完全に乾く前に触ってしまった
上述した通り、完全に乾くまで5日間はかかります。
しかし、待ちきれずに本を開くなどして触ってしまうと、失敗してしまいます。
ここが踏ん張りどころで、気になっても完全に乾燥するまで我慢して触らないことが、きれいに復活させるコツです。
冷凍して復活させる方法・コツ
冷凍する目的は「乾燥」
冷凍する目的は、乾燥させることにあります。
意外に思う方もいるかもしれませんが、冷凍庫内は乾燥するものです。
たとえば冷凍庫に長期間食べ物を入れておくと、水分が飛んでパリパリになってしまったことがあると思います。
その性質を利用して、濡れた本が乾いて縮む前に水分だけを飛ばそうという訳です。
コツは冷凍する前にできるだけ水分を取る
あまりにびしょ濡れだと、失敗の元だと上述しました。
そこで冷凍する前に、タオルやキッチンペーパーなどで本に付いた余分な水分をできるだけ吸い取っておきます。
やり方は上述した通り優しく行います。
早く乾燥させるコツは、余分な水分を取ってから冷凍することです。
本は閉じたまま冷凍する
もうひとつ失敗を防ぐコツとして、無理に本を開かないことです。
水分を除去するとき、濡れたページをこすったり無理にページを開いたりしてはいけません。
神経質になる必要はなく、ざっと表面の水分を拭いたら、本は閉じたまま冷凍しましょう。
乾燥すれば自然にページは真っ直ぐになり、めくれるようになります。
濡れた状態で開くと、敗れたり傷む原因になるのでおすすめしません。
冷凍する時間の目安は24時間
本の厚みにもよりますが、24時間は冷凍しましょう。
完全に冷凍することで乾燥がされるため、しっかり冷凍することが失敗しないコツです。
ジップロックに入れて立てて保管する
本はビニール袋やジップロックに入れて口を開けて保管します。
おすすめはジップロック。
その際、開けた口が上になるように立てて保管しましょう。
その方が水分の蒸発がしやすくまた、上手くできるコツでもあります。
ビニールよりジップロックがおすすめな理由
普通のビニール袋より、冷凍保存用のジップロックを使うのが良いでしょう。
ジップロックに入れることにより、周囲の食品の臭い移りや紙の貼り付きを防止します。
普通のビニール袋だと臭い防止や貼りつき防止に欠けるので、できればジップロックがいいでしょう。
ポイントは口を閉めないこと
冷凍する最大の理由は、乾燥させること。
そのため水分を逃がす必要があるので、ジップロックの口は閉めません。
もし口を閉めてしまうと、水分を逃がせずに中が蒸れてしまい、失敗してしまいます。
板2枚で挟んで重りで圧縮
冷凍できたら、次に厚みのある平らな板を2枚用意します。
その板に本をはさんで、上に重りを置き圧縮。
重りはハードカバーの小説くらいなら5kg程度で、文庫本くらいなら3kg程度でいいでしょう。
重りは均等に圧がかかるようにします。
自然乾燥で5日間以上
板で挟んで圧縮したら、自然乾燥のため5日間以上挟んでおきます。
挟んだ状態で自然乾燥させるので、長い時間を要します。
根気よく期間が過ぎるまで、放置しておきましょう。
その他の方法を2つご紹介
アルコールスプレーを使う方法
その他の方法として、アルコールスプレーで修復する方法をご紹介します。
アルコールは75%以上のものを使用。
手順は、濡れた本にアルコールをスプレーするのですが、特に濡れてよれよれしている部分にかけます。
次に高温設定したアイロンをあててしっかり乾かしつつよれを取ります。
そしてまだ熱いうちに本を2枚の板で挟み、5キロ以上の重り(漬物石やダンベルなど)で圧力を掛けます。
重りの他に、DIYでクランプする器具を持っていれば、それでしっかりクランプしましょう。
そのまま触らずに最低5日間、本の厚みによっては1週間程度は放置。
決して触ってはいけません。
この方法は古本屋さんや図書館で、濡れた本の修復におこなわれている手法でもあります。
これら専門の場所には「手機械」という本をクランプできる機械があるので、クランプしてからの日数が24時間程度で済みますが、一般のご家庭にはまずないので板2枚で代用しましょう。
あとは上述した方法と同じで5日間以上触らずに、自然乾燥します。
アイロンやドライヤーを使う
もうひとつはアイロンやドライヤーを使う方法です。
冷凍する方法が普及する前は、ほとんどの家で使われていた方法ではないでしょうか。
かくいう私も幼い頃に教科書を水たまりに落とした時、母親がやってくれた方法がアイロンをかける、でした。
またはドライヤーの温風で乾かす方法もありますね。
どちらも乾燥させることはできますが、仕上がりはきれいとはいきません。
乾けば多少仕上がりが悪くてもかまわないという方向きです。
方法の一つとして覚えておくとよいでしょう。
色の付いた飲み物のシミを落とす方法
コーヒーや紅茶は塩素系漂白剤で落とす
コーヒーや紅茶のように、色の付いた飲み物が本の一部分だけに付いた場合は、丸ごと冷凍するやり方よりも漂白剤を使って叩いて汚れを取る方法が良いでしょう。
手順は、薄めた漂白剤をキッチンペーパーに含ませて、汚れた部分をとんとんと叩きます。
キッチンペーパーが汚れたら場所を変えて、きれいな面で叩いて汚れを根気よく漂白していきます。
完全には落ちないしデメリットも
ただし、この方法で汚れはある程度落ちますが、完全には落ちない場合もあります。
またノートだった場合、元々印刷されていた線が消えてしまう事も。
このように完全でなかったりデメリットもあるので、そのことを念頭に置いて試してみてください。
まとめ
濡れた本を冷凍することで、失敗なく復活する方法をお伝えしてきました。
冷凍庫でジップロックに入れて臭い移りを防ぎつつ、口を閉めないで水分を飛ばすことで乾燥させます。
紙の性質上、乾くと縮んでよれよれの状態になってしまうので、それを逆手にとって乾く前に水分を飛ばしてしまいます。
ただ普通に乾燥させてしまうと紙の性質上、きれいに乾きません。
そこで冷凍して乾燥させることで、失敗なく復活できるわけです。
そうして水分を飛ばした本を、板で挟んで重りで圧力を掛けつつ自然乾燥するとよれよれにならずに復活させることが可能となります。
論より証拠。
本が濡れてしまった時は、ぜひ試してみてくださいね。
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