醤油についてなにか意識したことはありますか?
美味しいお刺身にチョンとつけたり、はたまた煮物や魚の煮つけに使われたり。
普段の食生活になくてはならないと言っても過言ではない「醤油」
何気なく食べているからこそ、その裏側を意識することはあまりないでしょう。
今回は、そんな醤油の健康面に着目していき、より醤油の奥深さをお伝えします。
- 醤油のアルコール度数はどれくらいでしょうか
- 醤油にアルコール入ってる理由
- 醤油は体に悪いのかについて
解説していきます。
醤油にアルコールは入ってる?
スーパーや通販で醤油を見てみましょう。
アルコールが含まれる醤油と、アルコールが含まれていない醤油があります。
では、どんな醤油にアルコールが含まれ、どんな醤油には含まれていないのでしょうか。
アルコールが入ってる醤油
こちらは、スーパーやCMでよく見かける「しぼりたて 生醤油」です。
こちらの商品含め、1リットル300円以下で売られている醤油は、アルコールが含まれているものが多く散見されます。
アルコールが入っていない醤油
一方、アルコールが入っている醤油に比べると、高価で、スーパーではなかなか手に入りにくく、ネットで販売している醤油もあります。
これらの醤油は比較的アルコールが含有されていないものが多いです。
ではなぜ、アルコールが入っている醤油とそうでない醤油があるのでしょう。
醤油にアルコールが入っている理由
産膜酵母菌を予防するため
産膜酵母菌は、空気や塩分を好む酵母菌の1つです。
画像は、味噌の製造過程でできた産膜酵母菌ですが、このように醤油のぬか床の表面を白い膜状のものが覆います。
人体への影響はないものの、醤油自体の風味を損なってしまうため、予防する必要があります。
予防に必要な要素は3つです。
これら3つの要素は、1つが欠けていると他の要素で補うことができます。
例えば、うまみ成分が少なければ、アルコール度数を高めることで、産膜酵母菌を抑制することができるというわけです。
ではなぜ、塩分と旨味成分、そしてアルコールを均等に入れないのでしょうか。
安価に流通させるため
うまみ成分となる窒素量を増やすには金額がかかり、醤油の価格を下げるために、減らされる場合も少なくありません。
つまり、アルコール度数を高めて、産膜酵母菌を抑止できれば、醤油自体を安価に抑えることができ、会社としての利益を増やすことができるのです。
塩分を増やすことができない
会社の利益ばかりにとらわれず、他の目的でアルコールを増やす場合もあります。
例えば、そもそもうまみ成分が少ない淡口醤油の場合は、塩分を増やすか、アルコールを増やすかの2択になります。
塩分を増やすと、もちろん塩辛くなってしまうため、風味を良くするために、アルコールを増やす必要が出てきます。
したがって、作り手側の様々な意図によって、アルコール含量は調製されているのです。
醤油のアルコール度数
では実際、醤油に含まれるアルコール度数は何度になるのでしょうか。
一般的な醤油の場合
スーパーでよく見かける一般的な醤油の場合、約2~3%程度です。
これは、低アルコールの缶チューハイほどの含量となります。
減塩醤油の場合
減塩醤油の場合、産膜酵母菌の発生を抑えるために、アルコール度数を上げる必要があります。
したがって、アルコール度数は一般的な醤油に比べて5%程度と比較的高くなります。
これは、缶ビールのアルコール度数に匹敵します。
醤油のアルコールの害
さて、醤油に含まれるアルコールは、私たちの身体に害をもたらすのでしょうか。
子供への害は?
生まれたてのお子様には、そもそも醤油の塩分が多すぎるという見方もあります。
目安としては、9~11か月のお子様で~0.84g/回、1歳~1歳6か月のお子様で~3g/回です。
アルコール自体は、お皿に少し乗せるくらいであれば、蒸発してしまうので安心ですが、塩分摂取量が多くなってしまうので、量はきちんと計っておきましょう。
妊娠中・授乳中のお母さんへの害は?
缶チューハイやビールは、350mlや500mlで販売されています。
しかし、醤油をそこまで多量に摂取することは、まずないでしょう。
したがって、お刺身を付ける時の醤油程度の量であれば、安心して召し上がっていただけます。
もし、どうしてもご心配であれば、加熱してアルコールを飛ばすことをお勧めします。
運転する方々への害は?
運転する方々も、多量に摂取しなければ、飲酒運転にはなりません。
ちなみに、体質にもよりますが、体重60~70㎏の成人で、ビール500mlを飲んだ場合、体内で処理するのに1時間を要します。
しかし、醤油を500ml飲むことは、まず無いでしょう。
安心して、美味しく醤油を味わってください。
醤油のアルコールは飛ばすべき?
小さいお子様や、授乳中・妊娠中の方々は特に気にされる方が多いかと思いますが、必ずしもアルコールを飛ばす必要はありません。
しかし、より醤油のまろやかさを引き出すために、あえてアルコールを飛ばすことがあります。
お寿司屋さんで、「煮切り醤油」というのを聞いたことはありませんか?
こちらは、あえて醤油やみりんのアルコールを飛ばして、まろやかに仕上げた醤油の事です。
煮切り醤油の作り方
- 材料
-
- 醤油・・・3
- みりん・・・1
- 酒・・・1
- 作り方
-
- みりん&醤油を煮立たせてアルコールを飛ばす
- 醤油を加えて、さらに軽く煮立たせる
- 完成
ひと手間加えて、一味違った醤油のおいしさを楽しむことができますので、料理に合わせてぜひ、お試しください。
アルコールが含まれる醤油には添加物も含まれる
さて、ここで1つ問題視されるのが、アルコールを使用する醤油には、多くの場合、他の成分も入っているということです。
こちらもアルコールを使用した醤油ですが、原材料名の/以降は添加物として定義づけされる成分となります。
商品にもよりますが、醤油にはアルコールを始め、「アミノ酸」「カラメル色素」「甘味料」「酸味料」「増粘多糖類」が含まれることが多いです。
では、これらの添加物はどのような役割を持ち、私たちの身体にどのような影響をもたらすのでしょう。
醤油に含まれる添加物の役割
アミノ酸
醤油に含まれるアミノ酸の中でも、代表的な成分と言われるのが、L-グルタミン酸ナトリウムです。
昆布や鰹節に含まれる旨味の素となり、酸味や苦みを抑制するため、まろやかに仕上げることができます。
甘味料
醤油に含まれる甘味料の代表的な成分の1つが、サッカリンです。
他にも、アセスルファムカリウムやカンゾウ抽出物等があります。
甘味と言われる通り、醤油に甘さを足してくれる添加物です。
酸味料
クエン酸やクエン酸三ナトリウム、コハク酸二ナトリウムが醤油の酸味料として使われます。
その名の通り、酸味をプラスし、味・香りのバランスを整えてくれる添加物です。
増粘多糖類
代表的な添加物が、キサンタンガムです。
コクととろみを加える働きを担います。
カラメル色素
一般的に言われる、着色料です。
代表的な成分が、カラメルⅠやカラメルⅢとなり、醤油独自の色を出すために用いられます。
添加物がもたらす身体への影響
添加物と聞くと、身体に悪い影響を与えていると思いがちです。
反対に、無添加と聞くと、身体に良いような気がしてしまいますね。
以下は、厚生労働省で食品添加物について説明したページより抜粋です。
厚生労働省は、食品添加物の安全性を確保するために、食品安全委員会の意見を聴き、その食品添加物が人の健康を損なうおそれのない場合に限って使用を認めています。また、使用が認められた食品添加物についても、国民一人当たりの摂取量を調査するなど、継続的な安全確保に努めています。
(厚生労働省HPより抜粋)
もちろん、薬も飲み過ぎたら身体に悪影響を及ぼすように、添加物も摂りすぎは禁物です。
添加物を多量摂取してしまうことで、発がん性や神経疾患が現れるというデータも存在します。
しかし、醤油に含まれる添加物は、国が定めた安全基準をしっかりと満たしたものです。
したがって、決して身体に悪いわけではなく、醤油としての味を引き出すために使用されています。
添加物が入っているから身体に悪いという単純な理由で、料理の幅を減らすことなく、正しい知識を持って美味しく醤油を召し上がってください。
丸大豆と脱脂加工大豆の違い
1枚目と2枚目の写真では、使用している大豆の種類が違います。
丸いままの大豆を丸大豆と呼ぶことがありますが、この丸大豆から油分を抽出したものを「脱脂加工大豆」と呼びます。
“加工”と聞くと、どうしても身体に悪いように感じてしまいますが、そんなことはありません。
脱脂加工大豆は身体に悪い大豆なのか
大豆に含まれるもの
- 油分約
- 20%
- タンパク質
- 約35%
上記の成分が含まれます。
脱脂加工大豆は、大豆の油分を絞ったものであり、よりタンパク質の割合が多くなります。
したがって、脱脂加工大豆は大豆に比べ、旨味の素となるタンパク質を多く含むうえ、加工しやすい形になった大豆というわけです。
ではなぜ、わざわざ醤油づくりに適した「脱脂加工大豆」を使用することなく「大豆そのもの」を使って醤油を作る生産者がいるのでしょうか。
丸大豆を使うわけ
脱脂加工大豆は、多くの大豆から抽出するため、どの生産者から作られた大豆か、定めることが難しくなるのです。
したがって、生産者の顔が見れるよう、あえて丸大豆を使用して醤油を製造する生産者もいます。
良質な醤油
利益を考えるのではなく、良質な醤油を作り続ける企業はたくさんあります。
より、醤油本来のおいしさを楽しむことができる商品をご紹介しましょう。
超特選むらさき醤油
下総醤油
ハラール醤油
醤油のアルコールまとめ
醤油に使われるアルコールが、どんな役割を担っているか、お分かりいただけましたか?
醤油だけでなく、普段何気なく使っている食材は非常に多いです。
全ての食材に敏感になる必要はありませんが、少し意識するだけで、その素材を存分に味わうことができると思います。
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