カビは50度のドライヤー乾燥で死滅する?死滅温度は?

カビは50度のドライヤー乾燥で死滅する?死滅温度は?

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カビを死滅させるにはドライヤーで行ける!という話を聞いたことは無いでしょうか。

この記事ではその真相に迫ります。

カビは50度のドライヤー乾燥で死滅するのでしょうか?また、カビの死滅温度は何度からなのでしょうか。根拠を交え詳しく解説しています。

目次

カビの死滅温度

<温度> 生育可能温度で微生物を大まかに分類すると、0度近傍を最適温度領域とし20度以上では増殖できないものを好冷菌、20~45度を最適温度領域としているものを中温菌、45~60度を最適温度領域としているものを好熱菌、60~80度を最適温度領域としているものを高度好熱菌および90~100度を最適温度領域としているものを超好熱菌となる。

ー中略ー

カビは通常は菌糸と胞子の状態で存在するが、その胞子には分生子(無性胞子)、子嚢胞子(有性胞子)および接合胞子が存在する。子嚢菌の麹カビと青カビを例としてカビ胞子を水に懸濁した状態での耐熱性について、表4に示した。子嚢胞子は最も耐熱性が高く、次いで分生子の順となっている。しかし、菌糸は胞子よりも耐熱性が低く、50度でほとんどの菌糸が死滅する。80度において、30分程度の加熱処理によりほとんどのカビが死滅することがわかる。

しかしながら乾熱(乾燥状態での加熱)では、カビ胞子(分生子、子嚢胞子、接合胞子、厚膜胞子)を死滅させるには120度以上で60~120分程度の加熱時間を必要とし、非常に耐熱性が高い。したがって、資料上に付着あるいは生育したカビの加熱殺菌は不可能であることがわかる。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sonota/003/houkoku/08111918/002.htm

結論からお話すると、カビの体を構成する菌糸と生殖細胞である胞子の両方を完全に死滅させるには、120度以上過熱する必要があります。

しかも120度以上の温度を保ちながら60~120分もの時間、加熱するのです。

一般家庭で120度以上で2時間以上加熱する条件を満たせる環境をお持ちの方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。

そのため、生活の中からカビを完全に根絶することは、残念ながら非常に難しいことなのです。

しかし、悪い情報だけではありません。

一般家庭で発生するカビの種類は45~60度で育つ好熱菌が多いので、カビの体を構成する菌糸を死滅させる場合は50度で5分程度、生殖細胞である胞子を死滅させるには80度で30分程度加熱すれば良いのです。

毎日のお風呂掃除であれば50度のお湯を5分程度かけ、カビの菌糸を死滅させることができますね。

カビはドライヤーで死滅するのか

ドライヤーの温度は吹き出し口から3cmのところで計測されます。

一般的なドライヤーの平均温度は100〜120℃。

温度が高いものでは140℃になるものもあります!

髪から距離が離れればそれだけ温度は下がり、温度が120℃のドライヤーの場合10cm離せば100℃、15cm離せば90℃程度まで温度が落ちるようです。

https://chill-hair.net/blog/0002642/#:~:text=%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%BC%E3%81%AE%E6%B8%A9%E5%BA%A6%E3%81%AF%E5%90%B9%E3%81%8D%E5%87%BA%E3%81%97,%E6%B8%A9%E5%BA%A6%E3%81%8C%E8%90%BD%E3%81%A1%E3%82%8B%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

そもそもドライヤーの熱は何度なのでしょう。

ドライヤーの熱を測るときは、吹き出し口から3㎝のところで計測します。

一般的な市販ドライヤーの平均温度は100度~120度で、中には140度に至る製品もあるのです。

前章でお伝えしたとおり、すべての種類のカビを死滅させられる温度は120度以上。

ドライヤーの熱でカビを死滅させられるのではないでしょうか。

<温度> ー中略ーしかしながら乾熱(乾燥状態での加熱)では、カビ胞子(分生子、子嚢胞子、接合胞子、厚膜胞子)を死滅させるには120度以上で60~120分程度の加熱時間を必要とし、非常に耐熱性が高い。したがって、資料上に付着あるいは生育したカビの加熱殺菌は不可能であることがわかる。

ー中略ー

<熱> カビの耐熱性については温度の項で解説したがカビ菌糸のみを殺滅するのは比較的低温(80度、30分)加熱で良いが、分生子、子嚢胞子、厚膜胞子などの耐熱性細胞は120度、2時間以上の加熱が必要であるので資料や記念物に応用しない方が良い。なお、加熱方法としてはマイクロ波加熱、赤外線加熱および熱気流加熱がある。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sonota/003/houkoku/08111918/002.htm

全種類のカビの菌糸から胞子まで死滅させるには120度で2時間以上の加熱が必要です。

ドライヤーを2時間以上稼働させて熱風をかけ続ければカビは全種類、胞子まで死滅しそうですが、有効な加熱方法はドライヤーのような熱風ではなく、マイクロ波加熱、赤外線加熱、熱気流加熱に限られているのです。

一般家庭で手軽に扱える加熱方法ではありません。

そのため、やはりすべての種類のカビ、その胞子までをも死滅させることは非常に難しいのです。

しかし、一般家庭で多く生息する好熱菌は50度で5分程度加熱するとカビの菌糸を死滅させることができ、胞子まで死滅させるには80度で30分程度の加熱で良いのです。

ドライヤーの熱風の温度は、一見その条件を満たしていますが、実はカビの表面を乾燥させるだけで死滅させることは難しく、更に強力な送風によってカビの胞子を周囲にばらまいてしまう可能性のほうが高いので、ドライヤーの熱風を直接カビにかけることは有効ではありません。

しかしながら、一般家庭で使われる家電の中で、持ち運びが簡単でいろいろな場所で使えるドライヤーを工夫して使えるようにしたいですよね。

お風呂場のように熱湯をかけ続けられない窓際や通気口の近くの壁紙など、結露によってできた黒カビの菌糸を死滅させることは可能になるのでしょうか。

ドライヤーでカビ対策をするメリット

ドライヤーは、お風呂場以外の場所でコンセントさえあれば熱湯を直接かけ続けずに加熱できることが最大のメリットと言えます。

窓際の壁紙にできた黒カビやテーブルの裏側に生えた青カビ、表面をふき取るだけでは心配です。2度とカビが生えないようにしたいですよね。

ドライヤーをそのまま使ってしまうと、カビの表面を乾燥させるだけで、尚且つカビの胞子を周囲に飛び散らせてしまうデメリットも、熱湯にくぐらせたタオルを使うことで解消できます。

次章ではドライヤーを使っても熱湯と同じようにカビを死滅させる方法をタオルを使ってご紹介します。

ドライヤーでカビを死滅させる方法

沸騰したお湯にくぐらせたタオルを厚手のゴム手袋をした状態で搾り、まだ熱々のタオルを窓際の壁紙やサッシの黒カビにかぶせ、タオルの温度が下がってきたらドライヤーの熱風を数分かける。

ドライヤーの熱によりタオルが再び熱せられるので温度を保つことができる上、濡れたタオルをかぶせることでドライヤーの熱風で胞子が周囲に飛び散ることを防げます。

これで、黒カビに50度以上で5分程度加熱すること、青カビに60度以上で2.5分以上加熱することも可能になります。

黒カビも青カビも菌糸を死滅させられますね。

ドライヤーでカビ対策をする注意点

ドライヤーを使ってカビ対策をする際の注意点をご紹介します。

電気代がかかる

現在の電気代は各ご家庭の契約内容によって異なっています。

そのため平均的な料金となりますが、ドライヤーは10分で約5円の電気代がかかります。30分ドライヤーをかけ続けると約15円です。

結露がひどい季節に、カビ対策のため毎日ドライヤーを30分使うと、30日で450円かかります。

熱風で素材を傷める恐れがある

高級家具や革製品、寝具などは、素材によってはドライヤーの熱風によって傷んでしまう可能性があります。

ドライヤーの熱風を直接かけない、熱湯をくぐらせたタオルを使うにしても、熱による変形や変色、縮みが起こる可能性があります。

寝具は洗濯表示がついているので高温に耐えられるか確認してからドライヤーを使いましょう。

高級家具や皮製品は変形や変色、縮みが起こりやすいので、ドライヤーは使わないようにしてください。

ドライヤー乾燥以外でできるカビ対策

ドライヤー乾燥以外でできるカビ対策もご紹介します。

カビ専用の漂白剤

お風呂場で使う「カビハイター」や「カビキラー」と言ったカビ専用の漂白剤商品も、壁紙やサッシの黒カビに使うことができます。

しかし、そのままスプレーすると飛び散ってしまうので、キッチンペーパーに吹きかけ、カビ専用の漂白剤がしみ込むまで少し待ちます。

漂白剤で塗れたキッチンペーパーを取り扱うのが難しい時は、漂白剤を吹きかける前に割りばしにキッチンペーパーを巻き付けてそのまま使うと扱いやすくなります。

ゴム手袋をはめて、カビ専用の漂白剤がしみ込んだキッチンペーパーを壁紙やサッシの黒カビに覆いかぶせます。

数十分そのまま放置して黒カビの菌糸が死滅するのを待ちます。

キッチンペーパーをはがした後、まだ漂白成分が残っているので、熱いお湯にくぐらせたタオルでしっかりふき取りましょう。

消毒用エタノール

<エチルアルコール>エチルアルコールは揮発性と可燃性が高いので特に注意が必要である。エチルアルコールの作用メカニズムは微生物細胞膜への浸透により細胞膜が破壊され、タンパク質の溶出や変性が起こり殺菌効果を示す。したがってエチルアルコールの場合には70w/w%(重量パーセント)(約80v/v%(容量パーセント))の場合が最も高い殺菌力を発揮し、この濃度域より高くなっても低くなっても殺菌効果が激減する。この理由は細胞表層の膜と同じ疎水性にアルコール水溶液を調製すると浸透性が高くなり、高い殺菌活性を示すことに基づいている。エチルアルコールは栄養型の細菌には有効だが、細菌芽胞、真菌や酵母に対しては長時間の接触が必要である。なお、最小発育阻止濃度(MIC)は黒麹カビ(Aspergillus niger)、青カビ(Penicillium notatum)に対して、5パーセント濃度において48時間接触条件で生育を阻害する。エチルアルコール濃度を70パーセントに保ち(蒸発を防ぎ)長時間接触させることでカビを殺菌することが可能だが、エチルアルコールを栄養源とする酢酸菌やその他の微生物の存在により消費されてしまう欠点がある。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sonota/003/houkoku/08111918/002.htm

70%のエチルアルコールとは、無水エタノールを精製水で薄めた「消毒用エタノール」のことです。

ドラッグストアなどで簡単に購入することができます。

一般家庭に生息するカビの種類の多くが、70%に薄められた「消毒用エタノール」と同じ疎水性(水に混ざりにくい性質のこと)のため、カビへの浸透性が高まり、カビの細胞膜を破壊してたんぱく質を変性させるので、高い殺菌効果が望めるのです。

「消毒用エタノール」を使用するときは、最初にカビの表面を熱いタオルで拭きとり、続いて「消毒用エタノール」をしみ込ませた脱脂綿やタオルで覆い、長時間カビと接触させます。

「消毒用エタノール」は揮発性が高いので、脱脂綿やタオルが乾いてきたら「消毒用エタノール」を再度しみ込ませます。

しかし敷布団やマットレスの黒カビは、「消毒用エタノール」をしみ込ませたタオルや布でポンポンポンと表面を叩くようにカビ取りすると良いですよ。「消毒用エタノール」が十分しみ込んで黒ずみが取れなくなってきたら天日干しをして完了です。

天日干し出来ない時は、ドライヤーを使って表面を乾かしたり、布団乾燥機で乾かしましょう。

布団やマットレスの色落ちがある場合は「消毒用エタノール」の使用を止めて、寝具を取り扱う専門店でクリーニングをしてもらう方が安全です。

「消毒用エタノール」もドライヤー乾燥と同様、すべてのカビや菌に有効ではありません。

そのため、次の章でご紹介するカビの予防方法と併用して使うようにして下さい。

カビを予防するには

カビが繁殖しやすい条件は、湿度が60%以上を超え、80%に達したとき、一気にカビが増殖します。

カビが生きやすい温度もあり、一般家庭で繁殖するカビの多くが室温25度~28度を好みます。

そして、カビが生きていくのに欠かせない栄養分として、私たちが食事した後の食べかす、部屋にたまったホコリや汚れ、ダニの死骸を必要とします。

カビを予防するには湿度、温度、栄養源を断つことが重要です。

湿度を下げるには、除湿器を使ったり、エアコンのドライ機能を使いましょう。

窓際の結露、湿気がこもりやすいクローゼットや靴箱、シンクや洗面台の下には水とりぞうさん(除湿剤)を置くように心がけると良いですよ。

湿気がこもりやすい脱衣所や寝室では換気の他に扇風機やサーキュレーターを使って空気を循環させましょう。

室温は季節によってどうしようもない時があると思いますが、梅雨時期だけでもエアコンで25度以下を保つようにするとカビの発生を防ぐことができます。

そして、最も重要なのが、食べかすやホコリ、ダニの死骸の除去です。カビの栄養源になる物質はこまめに掃除をすることで取り除くことができます。

普段は掃除機だけという人は、週に何回かは拭き掃除をプラスしてみたりするのも良いですね。

お風呂場の掃除も普段掃除していない天井を消毒用エタノールで週に数回しっかり拭いてみましょう。天井からカビの胞子が降ってくることを防げます。

カビは50度のドライヤー乾燥で死滅するのまとめ

一般家庭によく発生する種類の黒カビや青カビは菌糸の場合、50度で5分、胞子まで死滅させるには80度で30分加熱すれば除去することができます。

一般的なドライヤーの温度は100度~120度、中には140度に至る製品もあります。

カビを死滅させるには十分な温度です。

しかし、実際にはドライヤーの熱風ではカビの表面を乾燥させるだけで死滅させることができず、更には熱風によって胞子を周囲にまき散らしてしまう可能性もあるのです。

そこで、熱湯をくぐらせたタオルを黒カビの上に覆いかぶせ、タオルの温度が下がってきたら、ドライヤーの熱風を数分かけて温度を下げない方法をご紹介しました。

表面だけを乾燥させることなく加熱が出来、胞子もまき散らすことがありません。

カビは湿度、温度、栄養源の3つの条件がそろったときに発生します。

生まれてしまったカビの死滅も大切ですが、換気をしっかりして、掃除をこまめにし、エアコンで室温を管理するなどしてカビの発生予防をすることにも力を入れてみましょう。

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