日本で働いている人の約半分が土日休みの仕事に就いています。公務員や会社員などオフィスワーカーは、一般的に土日がお休みですが、土日休みじゃない仕事、平日お休みの職業、不定休の仕事にはどんなものがあるのでしょうか。
平日休みの職業や仕事
働き方改革やワークライフバランスという言葉が聞かれるようになってきましたが、仕事の性質上、土日が休みにできない仕事もさまざまに存在しています。平日休みの仕事にはどんなものがあるかご存知ですか。平日お休みになる職業・職種を業界ごとにまとめてみました。
医療・看護・介護業界
医療機関や介護サービスでは、患者や施設入居者に何かあったときに対応するため、365日24時間体制をとっているところがあります。夜間や休日に対応する人手を確保する必要があり、勤務スタッフはシフト制になっていたり、土日に出勤する代わりに平日のお休みを設定していることがあります。
また、小さいクリニックや医院などでは、学会の多い木曜日が休業日となっているところがあります。そのため事務スタッフなどは木曜休みとなります。
警察官・消防士
警察官や消防士も24時間体制で待機している必要があるため、シフトで勤務体制を作っている職場が多い仕事です。部署や勤務体制によっては土日休みになる場合もありますが、休日返上や残業対応も発生することがあり、曜日の影響を受けにくい仕事といえます。
配送業
平日に働いている人は、自宅にいないときに宅配便が届いてしまい、配達員が持ち帰ってしまった、という経験がある人も多いことでしょう。土日休みの人は、宅配便の着日や再配達の希望日を土日に指定せざるをえないことがあります。そのため、土日はふだんよりも配達員の数が必要となって、土日の稼働が増えます。そのぶん、平日休みとなる従業員がふえます。
理容・美容・エステ業
美容院や理髪店、エステなどの美容業界は、平日に働いている人が予約を入れる土日祝に利用客が多くなります。多くの美容院・理髪店、エステ店では、週明けの月曜日、火曜日をお休みにしていることがほとんどです。理髪店・美容院は全国的に月曜休みが多いのですが、関東エリアの美容院だけは火曜休みの店舗が多くなっています。
これは歴史をさかのぼると、戦中、電気が安定して供給できない「休電日」があったことに由来しています。昔は理髪店・美容院でパーマをかけるときに電気を大量に必要としたため、電気の供給されない日には営業ができず、その名残でいまも関東エリアで火曜日、全国的には月曜日が休みになっていると言われています。
不動産業
不動産屋さんも平日休みの職種で、水曜休みが一般的です。週末である土日に来客対応が多く、月火にその契約処理を行い、比較的業務が落ち着く水曜日がお休みになっています。
また、不動産業は土地や家屋など扱うものの金額が大きく、「水に流す」の言い回しが縁起がよくないということで水曜日の業務が避けられているという説もあります。地鎮祭や上棟式など家屋にまつわるあれこれには暦や風水などがつきものです。不動産業のお休みも験担ぎからきているのかも。
飲食業・販売業
レストラン、アパレルなど、飲食店や小売店のスタッフも平日休みになりやすい職業です。土日が来客が多い稼ぎ時であるため、従業員はシフト制をとっていたり、お店も平日に定休日を設けているところがほとんどです。飲食業や販売業はお休みそのものが少ない職業とも言われており、近年は多様な働き方が推進されています。
観光業
休みがとれると旅に出る、という人も多いと思います。旅行でお世話になる旅行会社、空港、ホテル、レジャー・娯楽施設、添乗員なども、土日や祝日がメインとなる職業です。混雑する土日が勤務の中心で、人出の少ない平日が休みに設定されています。
博物館・美術館・遊園地・動物園などの施設
博物館、美術館、動物園、図書館などの社会教育施設、遊園地などの施設の多くは月曜休みとなり、従業員も施設の休館日・休園日がお休みです。土日に多くの来場者・来館者を迎え、月曜日に休みとなりますが、最近はハッピーマンデーで月曜日が祝日のことも多く、その場合は火曜日に休みが移動することもあります。
フリーランス・自営業
フリーランスや自営業は自分でお休みを決めたり、プロジェクトが終わったタイミングで休みをとったり、曜日や週休2日といったシステムに縛られないスパンで働くことが可能です。業務の調整だけできれば、自分にあった休みを自由に設定し、オンとオフを使い分けられるメリットもあります。
曜日ごと平日休みになる職業とは
だいたいこの曜日はこの職種は休みだと相場が決まっているものもあります。曜日ごとにまとめると、このようになります。
- 月曜休み
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理髪店・美容院(関東以外)、博物館・美術館・動物園・遊園地など
- 火曜休み
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美容院(関東エリア)
- 水曜休み
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不動産業
- 木曜休み
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クリニック、医院
- 金曜休み・不定休
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シフト勤務による仕事、医療・看護・介護、配送業、飲食・販売業、フリーランス・自営業
平日休みの職業のメリット
土日休みの人が平日に休みをとったとき、なんともいえない爽快感をおぼえることがあります。人が少ない平日の街を歩いていると、平日休みの仕事もいいかもしれないと思ったりするものです。実際のところ、平日休みだとどんなメリットがあるのでしょう。
混雑を回避できる
多くの人が休みになる土日は、街に人があふれます。飲食店やショッピングモールは家族連れでにぎわい、もちろんレジャー施設や有名な観光地も人混みでごった返します。
しかし、同じ場所でも平日に行けば、人が少なく、落ち着いて買い物や観光ができます。行列のできるおいしいお店も並ばず入れることも。
人が多くて見るのをあきらめたとか、交通渋滞で余計に疲れてしまったという土日祝にありがちな弊害もなく、快適に観光を楽しめるのは大きなメリットといえるでしょう。
平日限定の料金やサービスを受けられる
人出が減る平日には、特別な割引やサービスなどが設定されることがあります。たとえば、映画館は水曜日が映画サービスデーとなっているところが多く、他にも映画館によっては平日にさまざまな割引が設定されています。人気の映画でも混雑せずに、少し安い価格で見られるのは満足度が高いですね。
飲食店の多くは平日にランチセットが設定されていて、手軽なお値段で食べることができます。オフィスの多いエリアでも近隣の会社の昼休みの時間と少しずらして行けば、混雑も回避でき、いつも行列ができているおいしいお店でも並ばずに食べられることもあります。
その他、高速道路でも平日朝夕にETC割引があったり、鉄道では平日の日中にだけ使える回数券の設定も一般的です。レンタカーや旅行会社のツアー、ホテルなども平日出発や平日利用だと価格設定が土日よりも安くなっています。
役所・金融機関・病院に行きやすい
役所や銀行、郵便局などの公共機関や、病院の多くは土日に閉まってしまいます。役所や金融機関への手続きをしなければならないときや体の調子がよくなくて病院に行きたいというとき、土日休みの人は半休などをとって時間を作ったり、お昼休みに急いで用事を済ませたりしなくてはなりません。
しかし、もともと平日がお休みなら、役所や金融機関、病院に行く時間がとりやすくなります。できるだけ空いている時間に行ったり、並んだり待ったりする間も時間を気にせずスムーズに手続きすることができます。
一人の時間が取りやすい
平日が休みだと家族や友人たちと予定を合わせにくい反面、一人で出かけたり食事をしたり、家でゆっくりしたりする時間も自分の思いどおりに作れます。掃除や自分磨きに思いきり時間をかけたり、趣味の時間を充実させたり、日頃の悩みや自分のキャリアや将来についてじっくり考えたり。
平日はほとんどの人が働きに出ているため、土日にくらべると街が静かというメリットもあります。一人の時間には平日の静かな日中がぴったりです。
土日に出勤すると手当がつくことも
飲食業やアミューズメント施設での仕事の中には、来客の多い土日に出勤すると手当がつくことがあります。土日に仕事量が増大することが多く、出勤するスタッフにモチベーションを上げてしっかり働いてほしいため、平日に働くのとはちがって、土曜や日曜、祝日に手当をつけている職場はかなり見られます。しっかり稼ぎたい人には大きなメリットですね。
平日休みの職業のデメリット
それでは逆に、平日休みの職業だとどんなデメリットがあるでしょうか。具体的に、どんな不便や短所があるのかまとめてみました。
家族や友人と予定が合わせにくい
平日休みの場合、一人の時間は取りやすいものの、友人や家族など誰かと一緒に出かけたいとなると、同行者を見つけるのがむずかしいという点があります。2人1組の映画チケットを使いたいときや、遊園地などは誰かと一緒に楽しみたい場所へは行きにくいことも。
土日が休みじゃない仕事を長く続けていると、友達と疎遠になってしまったという人も。
週末のイベントに参加しにくい
人が集まる土日だからこそ開催されるイベントが数多くあります。デパートやショッピングセンターの催事、音楽フェス、スポーツイベントなど大きめのイベントはほぼ土日に開催されています。さらに、冠婚葬祭のうち結婚式などお祝いごとも、列席者が参加しやすい土日に行われやすいイベントといえます。
土日に出勤する職業だと、週末に業務の中心となり、忙しくなるため、プライベートで参加したいイベントにあわせた休みに行きにくい状況になりがちです。
長い休みがとりづらい
土日が休みの仕事ならば、自動的に土曜日と日曜日が2連休です。しかし、平日休みの仕事の多くはシフト制になっていることが多く、休みといっても連休になりにくい傾向があります。通常の休みに有給休暇をつけても、長い休みを作りにくくなっています。
厚生労働省の発表によると、有給休暇の取得率がもっとも低い業種として「宿泊業、飲食サービス業」(41.2%)、「卸売業・小売業」(44.7%)、「建設業」(44.9%)が上がっています。いずれもシフト制で平日休みの職業となっています。
平日休みの職業や仕事まとめ
平日が休みになる職業をまとめると、
- 医療・看護・介護、警察・消防(24時間体制で仕事が発生する可能性がある業界)
- 配送業、理容・美容・エステ、飲食・販売業、観光業(サービス業・観光業)
- 不動産業
- 自営業、フリーランス
と大きく挙げられます。どこへ行っても人が少なく、平日割引などを利用できるメリットがあります。
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