自動車教習所に通う中で、最初の関門と言えるのが仮免の技能試験ではないでしょうか。
路上教習を受けるためにも必要となる仮免許ですが今回は、仮免の技能試験に受からないときの確認、落ちる人が見落としがちな事などについてお話ししていきます。
仮免の試験を受けるまでの流れ
自動車教習所で運転免許を取得する場合は、段階が必要になり、段階途中にある仮免許は教習所で第一段階(学科教習、技能教習)の修了検定に合格しないと交付されません。
教習所での運転免許を取得するための流れは以下のようになります。
1.運転適性検査
2.第一段階….学科教習(マニュアル/MT、オートマ/AT共に9~11時限ほど)、技能教習(マニュアル/MTは15時限、オートマ/ATは12時限)、効果測定、みきわめ
3.第一段階修了検定….技能試験、学科試験
4.第一段階修了検定合格→仮免許交付
5.第二段階….学科教習(MT、AT共に16時限)、技能教習(MT、AT共に19時限)、効果測定、みきわめ
6.卒業検定….路上技能試験
7.路上技能試験合格→卒業証明書交付(期限は1年間)
8.居住地域の運転試験会場、運転免許センターなどで本免許試験(適性検査、学科試験)
9.本免許試験合格→運転免許証交付
効果測定とみきわめ
効果測定とは
第一段階と第二段階の各教習規定を受け終えたのちにそれぞれに設けられる学科の模擬試験のこと。
みきわめとは
効果測定合格後に行われる、技能教習の最終項目となり技能が身についたかを判断するテストとなります。
第一段階の効果測定は仮免試験前に受ける試験になり、これに合格したのち技能教習の最終項目であるみきわめを受けて合格してから仮免試験に臨むことになります。
効果測定の段階
- 第一段階効果測定
-
- 教習所のパソコンで行う
- 試験時間は30分
- ○×形式で50問出題
- 1問2点の100点満点中90点以上で合格
- 第二段階効果測定
-
- 試験時間は50分
- ○×形式で95問出題
- 1問1点が90問、1問2点が5問で100点満点中90点以上で合格
一発合格を目指したい
効果測定は学科教習で受けた内容から出題されるため、それまでに受講した内容をしっかり復習して臨むようにしましょう。
わからないことはそのままにせず、教官に質問をするなどして効果測定を受ける前にクリアしておくことも重要です。
ひっかけ問題も存在しますので苦手だと思う項目があれば、重点的に復習して理解しておいて一発合格を目指してください。
効果測定に合格できない場合は再試験
効果測定に合格しないとみきわめを受けることができませんので、受かるまで再試験ということになります。
合格できなかった場合は、苦手意識のある項目やひっかけ問題に対する文言への理解などを徹底的にチェックして再試験に臨みましょう。
教習所によって1日に何度も効果測定を受けることができたり、受ける回数制限があったりと効果測定の受け方は異なります。
再試験に料金がかかる教習所もあるようですので、できるだけ一発合格しておきたいところですね。
効果測定合格後に行う「みきわめ」
みきわめは第一段階、第二段階のそれぞれの効果測定合格後に行われる、技能教習における最終項目に位置するテストです。
効果測定のような減点方式ではなく、各段階の基準項目に教習コースを使って教官がチェックして「良好」か「不良」の判断を受けます。
「良好」と判断されれば晴れて仮免試験、本免試験に進むことができます。
「不良」と判断された場合は満たしていない項目の追加教習が必要になりますので、効果測定同様にできるだけ一発合格できるよう教習項目をしっかり理解しておきましょう。
仮免の試験内容について
2つの試験
仮免試験は
- 「技能試験」
- 「学科試験」
の2つで構成されています。
合格するためには減点方式の「技能試験」に70点以上、○×形式の「学科試験」を90点以上獲得する必要があります。
教習車を使っての技能試験
試験は減点方式
技能試験では第一段階で学んだ運転技術を身につけているか、一般道路で運転することが可能かどうかが試されます。
試験時間は10分~15分ほどで横に試験官を乗せて行い、4コース前後あるうちから指定された1つのコースを走行します。
100点満点からの減点方式で70点以上あれば合格となりますが、試験開始から明らかに危険行為とみなされた場合、即試験中止となる場合があります。
採点の基準内容
技能試験での主な採点基準は
- 車の乗降時における安全確認
- 運転時の準備及び姿勢
- 運転装置の使い方
- 発進と停車
- 速度維持
- 安定した直進や右折左折
- 進路変更
- 一時停止
- 合図の出し方
- 交差点、踏切への進入
- クランク、S字カーブの走行
- 坂道発進
試験前にコース内容を覚えておくと精神的には安心ですが、試験中は教官がコースへの指示を出してくれるので無理に覚える必要はないでしょう。
学科試験は○×形式
試験内容
学科試験は第一段階で学んだ交通ルールやマナー、交通標識などに関する出題がなされる○×形式マークシート試験で、試験時間は30分です。出題数は50問で1問2点の100点満点中、45問90点以上で合格となれば晴れて仮免許を受け取ることができます。
第一段階の学科教習をしっかり学んでいれば決して難しい問題ではありませんが、ひっかけ問題もあるので慌てず問題文をよく読んで取り掛かりましょう。
試験問題は各都道府県で作成されその地域に合わせた出題内容になっているようなので、通っている教習所の過去問題や教材などに目を通して出題傾向を知っておくのも合格への手助けになるはずです。
ネットなどにも仮免の練習問題集などがありますので、余裕があれば手をつけて見ても良いでしょう。
受からない場合
学科試験に受からないと当然ながら仮免の交付には至りませんので、再試験を受ける必要があります。
学科試験は技能試験に合格してから3ヶ月以内に合格を果たさないと、改めて技能試験を受けなくてはならないため期限内の合格を目指しましょう。
学科試験に受からない場合でも深く落ち込んでしまうことなく、気持ちを切り替えて学科教習で学んだことを復習して苦手だと思われる項目の確認を行って再試験に臨んでください。
仮免の技能試験に受からない時の確認
不合格になりやすいポイント
減点の大きい項目へのミスを繰り返す
技能試験において満点を目指す必要はないかもしれませんが、減点の大きなミスを頻発することは避けたいですね。
「みきわめ」まで終了していても小さな苦手意識などがあれば、できるだけ取り除いておくことも減点を減らす対策の一つとなるでしょう。
減点項目を把握していない
減点項目がどんなものなのかを把握していない状態で試験に臨むことも、不合格になりやすいポイントと言えます。
特に安全確認や安全装置などの項目で、自分は「やったつもり」でいると減点を重ねてしまうこともあるので技能試験を受ける前には、どんな項目が減点の対象になるのかをよく確認しておきましょう。
減点方式での採点
点数の範囲
技能試験は減点方式で点数の範囲は5点から20点まであり、大きな減点を重ねてしまうと早々に70点を下回って不合格になる可能性が高くなってしまいます。
シートベルトの未着用など安全確認項目においては減点数が大きいので、練習中にしっかり身につけておくことも重要です。
減点項目とは
減点の対象となる項目には例として以下のような項目が並び、それぞれに減点される点数も異なります。
- 安全装置不適
-
- 発進前の安全確認ができていない….5点
- シートベルト不着用….10点
など
- 運転姿勢不良
-
- 座席を調整せずに不自然な姿勢で運転….5点
- 自然なハンドル捌きが出来ていない….5点
など
- 安全不確認
-
- 発進時の安全確認のための目視が出来ていない….10点
- 左折時の巻き込み….10点
など
- 急ハンドル
-
走行中の急なハンドル操作….10点
- 20点減点されてしまう項目
-
- 脱輪….縁石にタイヤを乗り上げてしまうなど
- 逆行(中型)….停止位置から進行に対して反対方向へ進行したり、ギアの入れ間違いで反対方向へ進行してしまうなど
- 速度超過….速度指定区間での概ね5km以上など
- 一発で試験中止になってしまう項目
-
- 発進不能….概ね5m以内にエンストを4回繰り返したり、青信号でエンストを含む操作不良、発進に技量がたりず1分以内に発信できないなど
- 通過不能….S字カーブやクランクなどの狭いコースで脱輪や接触を含む切り返しを4回行ってしまったり、通過できずに停止してしまうなど
- 暴走….ハンドルやブレーキのコントロール不能で危険な状態など
- 右側通行….道路の中央から右を通行したり、追い越し禁止の表示を無視して右側にはみ出して通行してしまうなど
- 安全地帯への進入….安全地帯や進入禁止部分へ進入または進入しようとした場合
サイトリンク:運転免許技能試験に係る採点基準の運用の標準について
極度の緊張
仮免試験の中でも技能試験は助手席に試験官が同乗して行うこともあり、緊張することは決して珍しいことではないと思います。
しかし、極度に緊張することは教習中に問題なくクリア出来た項目であっても、ミスすることで減点を重ねてしまい合格を逃す可能性もゼロではありません。
仮免の技能試験に落ちる人が見落としがちな事
技能試験に適した運転ができていない
技能試験に適した運転ができていないとは、自分は「やったつもり」が多い場合に見られます。
例えば自分は安全確認をしたつもりや左折の巻き込みに注意しながら安全目視をしたつもり、一時停止をきちんとしたつもりなどです。
自分はしっかりとやっていると思っても助手席に座る試験官の目に映らなければ、気づかないうちに減点を繰り返して不合格になってしまうこともあります。
試験官へのアピールが弱い
上記の項目に関連しますが、自分は「やったつもり」では試験官によっては「できていない」とみなされてしまう場合があります。
試験中の安全確認や項目に当たる動作は自分の感覚だけでしていては試験官へのアピールが弱く、強いては全く伝わらない状態で減点される可能性が高くなります。
減点対象となる項目に注意しながら、試験官へ動作がしっかり伝わるよう心がけが必要です。
苦手な項目を克服していない
苦手な項目を克服できていない状態では、何度試験を受けても合格することは難しいでしょう。
技能試験に落ちた場合に無意識のうちに苦手項目ができてしまっている可能性もあるので、なぜ落ちてしまったのかを考えて減点となった項目を確認して苦手を克服する必要があります。
仮に自分が落ちてしまった原因がわからなければ決してそのままにせず、指導を受けるようにしましょう。
はっきりした項目があれば練習もしやすくなり、再試験での合格につながることになるはずです。
仮免の技能試験に落ちるデメリット
補修教習が必要になる
技能試験に落ちるとすぐに再試験を受けることはできず補修教習が1時限以上必要となり、不合格となった原因や苦手な項目などを改めて確認します。
補修教習によって不安要素を克服した上で、再試験による合格を目指しましょう。
補修教習や再試験にも料金がかかってしまうので、何度も再試験になるのは避けたいところです。
技能試験に合格しないと学科試験が受けられない
技能試験に合格しないと学科試験を受けることができません。
技能試験に何度も落ちると、全体的に教習期間も必然的に伸びて予算やスケジュールの修正が出てきてしまいます。
技能試験で落ちた後の補修教習を受ける前に、指導員から強化すべき項目を教えてもらい克服して再試験に臨みましょう。
仮免の技能試験に受かるためのポイント
教習所コースを覚える
技能試験に使用されるコースは試験前に伝えられますので、頭の中でイメージしながらできる範囲で覚えられると良いかもしれません。
できる範囲でというのは、覚えられなくても試験中は助手席に試験官が同乗してコース指示を出してくれるのでそれほど心配がありません。
技能試験のコースは技能教習で使用される教習所の敷地であるため、少なからず馴染んだ箇所があるはずです。
全く覚えられずに仮にコースを間違ってしまっても、試験官の指示に従って焦らず落ち着いて修正できれば減点の心配はありません。
しっかりとした挨拶や返事
技能試験は同乗する試験官によって走行するコースへの指示が入ったり、各試験項目のチェックが入ります。
試験前にしっかりとした挨拶することと指示された際のはっきりした返事は、スムーズなコミュニケーションだけでなく試験中の動作を伝えやすくするためにも積極的に行いましょう。
挨拶ができなかったり、返事ができないと試験官からの印象が曇るだけでなく無駄な緊張感から余計なミスによる減点という可能性もあります。
できれば教習所の初日から積極的なコミュニケーションを心がけておくと、技能試験で慌てるリスクも減るので早い段階で挨拶や返事を意識しておくと良いでしょう。
安全確認は大げさでも大丈夫
試験中の行動で大切なのは教習で学んだことをそのまま出せれば良いだけでなく、正しい動作であっても試験官にしっかり伝わっているかが重要です。
「仮免の技能試験に落ちる人が見落としがちな事」でお話ししたように自分は「やったつもり」という動作や確認は、試験官に伝わる可能性が非常に低いと思っていた方が良いでしょう。
安全確認は自分の中で「大袈裟かも」と思うぐらいが丁度良いかもしれませんので、一つ一つの動作において試験官に伝わることを意識して試験に臨んでください。
減点項目を把握しておく
どんな行為が減点の対象になるかを意識しておくことは非常に大切です。
技能試験を受ける前に見落としがちな行為がないかなど、なるべく大きな減点をしないように減点項目を確認しておきましょう。
サイトリンク:運転免許技能試験に係る採点基準の運用の標準について
緊張しない
教習過程で出来ていたことを極度の緊張で発進時にエンストを繰り返してしまうなど、思わぬミスをしてしまうこともあります。
坂道発信、S字カーブやクランクなど難しいと感じる部分では緊張は避けられないかもしれませんが、学んできた技術を素直に出すために、慌てず落ち着いて試験に臨みましょう。
教習車の大きさに慣れる
教習車の大きさに慣れるというのは、車両感覚を身につけることでS字カーブやクランクの脱輪のリスクを減らすだけでなく、各項目でもスムーズな動作がしやすくなります。
繊細な車両感覚を短期間で身につけるのは難しいですが、技能教習の期間でちょっとした時間に教習車の大きさを確かめたり前輪と後輪の距離を意識してみるだけでも良いです。
乗車した安全確認動作の時にも直接目視できる空間やルームミラー、ドアミラーから見える空間などを意識しておくのも大きさに慣れる行為としては有効です。
教習中に学ぶ動作を単純に進めるだけでなく、車がどんな動きをしているのか把握することで技能試験の合格できる可能性が高まります。
仮免での注意点を覚えておこう
今回のお話をまとめると
- 仮免の技能試験に受からない時の確認
-
- 減点の大きい項目へのミスを繰り返す
- 減点項目を把握していない
- 極度の緊張
- 落ちる人が見落としがちなこと
-
- 技能試験に適した運転ができていない
- 試験官へのアピールが弱い
- 苦手な項目を克服していない
技能試験に受からないと気持ちも落ち込んでショックも大きいかもしれませんし、本当に運転免許を取得できるか不安になることもあるでしょう。
しかし技能試験に受からないとしても落ち込む必要はなく、落ちた原因を確認して足らない部分は何だったのかが分かれば補修教習を受けて再試験に望めば良いだけです。
わからないことは自己解決するよりも、教習所の教官や指導員に積極的に質問するようにしていきましょう。
そうすることで不安も解消できて遠く感じていたことが近づくこともありますので、技能試験を諦めずに仮免許を取得してください。
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