寒さも大詰めを迎えるこの季節、私たちの生活に欠かせない暖房器具。エアコンで済ませてしまう方も多いかもしれませんが、灯油を使ったストーブの温かさってまた別格ですよね。
しかし、石油ストーブを使うとなると、浮上してくるのがそれを保管するためのポリタンクの問題です。
普段何気なく使っているポリタンクですが、中に入れるものが入れるものなので、慎重に扱わないと危険な目に合うことになるかもしれません……
そこで今回は、
・ポリタンクの寿命ってどれくらい?
・それぞれの大きさや形でどんな違いがあるの?
・ポリタンクを長持ちさせるには?
という疑問にお答えしていきたいと思います!
灯油ポリタンクの素材
灯油は、消防法において第四類第二石油類、危険等級3に分類される危険物ですから、それを入れるポリタンクはしっかりした丈夫な製品でなければなりません。
ですのでポリタンクには、「高密度ポリエチレン」という素材が使われています。引っ張り強さや耐衝撃性に優れ、マイナス80℃の低温から、モノによっては136℃の高温まで耐えることができる、プラスチックと比べてもとっても丈夫な素材です。灯油ポリタンクは灯油缶と呼ばれることもありますが、現在ホームセンター等で気軽に手に入るのはこの高密度ポリエチレンを使ったものであることが多いです。
また、現在日本で流通しているポリタンクのほとんどには、「JBA推奨ラベル」や「型式試験済認証」、「JIS規格認証」といったシールが貼られています。これはポリタンクが性能テストに合格し、一定の安全基準を満たしていることの証明ですので、購入の際は確認してから買うようにしましょう。
加えて、灯油は紫外線に弱く、日光に当たるとすぐに劣化してしまいます。灯油用のポリタンクには色がついているのも、紫外線から灯油を守るためです。劣化した灯油はストーブの故障などの原因になりますので、透明なポリタンクに灯油を入れるのは絶対にやめましょう。
灯油ポリタンクの色に寿命の違いはある?
それでは皆さん、ちょっとポリタンクを思い浮かべてみてください。
はい。皆さんが想像したポリタンクは何色でしたか?
恐らく、赤と答える人と、青と答える人、このどちらかの人が多いのではないかと思います。この色の違いはポリタンクの材質やそれに伴う寿命の長短を示すものではなく、販売されている場所に関係があります。
もともとは、全国で白いポリタンクが使われていたのですが、飲料水を保存するのも同じ色のポリタンクだったため、混合してしまうのを防ぐために、現在のような色付きのポリタンクが増えていったんだそう。
赤いポリタンクは主に北海道を除く関東地域で販売されています。これは、赤=赤信号=危険、という連想から、中に危険なものが入っていることを示すためなんだとか。
一方の関西と北海道では青いポリタンクが主流。これは赤い染料より青い染料の方が比較的安価であったことに起因しています。関西の商売魂というのがあらわれた結果でしょうね。
灯油ポリタンクのサイズの種類と特徴
さて、ひとくちにポリタンクと言っても、様々な大きさのものがあるということをご存知でしょうか。大きさや容量に違いがありますので、生活スタイルに合ったものを選びましょう。
18リットル型
みなさんがホームセンターなどでよく目にするのが、おそらく最もスタンダードなこの18リットル型でしょう。大きすぎず小さすぎず、さらにどこでも簡単に手に入る、攻守に優れた万能選手です。
10リットル型
10リットル型は先ほどの18リットル型よりもかなり小さく、持ち運びに便利なサイズになっています。女性やお年寄りの方でも運びやすそうですよね。ただ、当たり前の話にはなりますが、その分減りも早いので、家の近くに灯油販売所があるか、頻繁に灯油販売車が巡回している地域にお住まいでないと、やや不便に感じるでしょう。
20リットル型
18リットル型よりさらに大量の灯油を持ち運べるのがこの20リットル型。灯油を満タンに入れた時の重さは18リットル型と2キロしか変わらないので、持ち運びにはさほど影響はありませんが、ポリタンクの幅が7センチほど大きくなるため、その分収納に難があるかと思われます。玄関スペースに余裕がないという方は18リットル型の方が使い勝手が良いでしょう。
その他
10~20リットルのスタンダードな形の他にも、いろいろな機能のものが販売されています。
持ち運び用ハンドルつき
こちらの持ち運び用ハンドルがついたタイプも20リットル型です。こまめに買いに行く時間もないけど20リットルは重くて運べない……という方にオススメ。
デザイン性重視
「ポリタンクを玄関で保管したいけど、デザインがインテリアと馴染まない……」というお悩みを抱えた方、結構いらっしゃるのではないでしょうか。最近では赤・青だけでなく、さまざまなカラー展開がなされています。そのまま置いてもおしゃれな、お気に入りのポリタンクを見つけてみてください。
ポリ缶の寿命は何年?どこに書いてある?
ポリタンクの寿命
「ものによって品質や寿命に差がないことはわかったけど、結局ポリタンクってどのくらい使えるものなの?」
そうですよね。安全に使うためには、ポリタンクの寿命はしっかり押さえておきたいところです。
日本ポリエチレン製品工業連合会によると、ポリタンクの寿命は製造されてから約5年。5年たったら即使えなくなるということではありませんが、どんな丈夫な製品でも経年による劣化は避けられません。まだまだ使えるように見えても、安全面を考慮して基本的には5年での交換が望ましいそうです。
寿命を超過して使い続けた結果、ポリタンクが劣化し、持ち上げた際に重さに耐えきれず底が抜けてしまう……なんて恐ろしいことも起こるようです。
また、フタはポリタンクとは別の素材でできており、こちらの方が早く劣化してしまうようです。割れて灯油が漏れ出したりしてしまうので、フタだけ予備で買っておくといざというときに役に立ちます。
ポリタンクの製造年月日の記載場所
「交換の時期は作られてから5年だってわかったけど、製造年月日がわからないとどうしようもないよ」
おっしゃる通りですね。では、ポリタンクの製造年月日はどこに書いてあるのでしょうか。
ポリタンクの製造年月日は、側面のこの辺りに書かれていることがほとんどです。
一般的な18リットル型であれば、画像の矢印の場所に書いてあります。また、10リットル・20リットル型であっても、側面に記載があることがほとんどなので、確認してみてください。
製造年月日の記載方法
「見てみたけど、へんな記号が書いてある。結局何年に作られたものなの?」
確かに、読み取り方がちょっとややこしいですよね。
なんだかこんな、時計みたいなマークがあると思います。これは真ん中の数字が製造年(西暦)、矢印の指す方向にある数字が製造月になっています。ですから、これだと「2021年2月に製造されたポリタンクである」ということになるわけです。
灯油ポリタンクの寿命を縮ませない対策
ポリタンクはだいたい5年で買い替え、ということがわかりましたが、使い方を誤るともっと早くに寿命を迎えてしまうそうです。せっかく買ったなら寿命いっぱい活躍してほしいというのが正直なところですよね。
では、ポリタンクを長く使う方法についてお話いたします。
①日光の当たらない場所に置く
まず最も大切なのがこちら。ポリタンクを日光の当たる場所で保管しないということです。ポリタンクの素材である高密度ポリエチレンは、衝撃や高温・低温には強いものの、日光に含まれる紫外線や極端な気温の変化に弱いという弱点があります。
ですので、野ざらしになってしまう屋外保存はあまりおすすめできません。玄関や小屋など、屋根のある場所での保管をお願いいたします。
②乱暴に扱わない
先ほど衝撃に強いとは書きましたが、それも蓄積すれば十分ポリタンクを痛める原因になり得ます。重たいからと言ってつい引きずってしまったり、硬い地面に勢いよく置いてしまったりすると、ひび割れの原因になります。
灯油ポリタンクの寿命まとめ
いかがでしたでしょうか?この季節、私たちの生活になくてはならない灯油と、ポリタンク。上手な付き合いを見つけていただければと思います。
最後に少しおさらいをしておきましょう。
「ポリタンクは「高密度ポリエチレン」という極めて丈夫な素材でできており、色や形状、大きさが違っても、認定証のついたものであればその品質や寿命に差はない。しかし5年程度で劣化し始めるので、安全面を考えるとそのあたりでの交換が望ましい。保管するときは日光の当たらない屋内に置き、なるべく衝撃を与えないように丁寧に扱う。」
それでは皆様、使用期間や用法をしっかり守って、安全にお使いください!
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