部屋の中にヤモリが出た、となると、リラックスしたおうち時間なのに、一気に緊張が走ります。
早く追い出したい、捕まえられるか、放置してもいいのか、家が傷つけられたり、家族が噛まれたりしないか。
ヤモリが家に入ったら、どう対応するのがよいでしょう。ヤモリの生態、上手な追い出し方や逃がし方、家や部屋に侵入しないための対策をご紹介します。
ヤモリを捕まえる手順
ヤモリは小さくすばしっこいうえ、体も柔らかい生き物です。素手や道具で捕まえるよりも、動くヤモリを出口方向へ追い立てて、ヤモリを自ら出ていくように逃がすと、簡単に追い出すことができます。
ヤモリを外へ追い出す
まず、外へつながる出口の位置を確認します。他の部屋へとつながるドアは閉め、床との隙間もタオルやテープなどでふさぎましょう。
さらに家具や壁沿いなどのヤモリが隠れそうな場所をなくすため、壁に接した家具をずらしたり、置いてある物をどけておきます。
その後、ヤモリを出口方向に移動させるため、出口と反対側から丸めた新聞紙などで壁や床を軽く叩いたり、霧吹きで水を吹きかけるなどして、ヤモリを追かけて、部屋の外へと追い出します。
道具でヤモリを捕まえる
動きの鈍いヤモリであれば、捕まえて外へ逃がすこともできます。
ビニール袋、紙袋、虫取り網などを上からかぶせたり、箱やガラス瓶の中に追い込んだりすると捕まえられます。
袋や網は口をふさいで出口へ持っていき、ヤモリを逃しましょう。
瓶や箱の場合は、床との間に厚紙や下敷きなどをゆっくりすべりこませます。ヤモリが厚紙の上にのったところで、厚紙をさらにずらして箱や瓶の口をふさぐようにします。
安全?危険?ヤモリの生態とは
ヤモリはなぜ家の中に入ってきてしまうのでしょうか。毒や害があるのか、攻撃性があるのかまとめました。
ヤモリはどう動く
ヤモリは体長10~14センチほどで、へびやとかげと同じ爬虫類に属します。体表はうろこで覆われ、灰色や褐色をしています。体が平たいためドアと床の隙間など狭い場所にも入り込みます。単独で行動するため、巣や群れは作りません。
無理につかまえると、とかげと同じように自分で尻尾を切って逃げることも。
臆病な生き物で嫌なことをされなければ人に攻撃することもありません。ペットとして飼われてもいますが、骨格がやわらかく、万が一ヤモリが人の手などを噛んでもまったく痛くありません。
四肢には趾下薄板(しかはくばん)とよばれる器官があり壁や天井などにも落ちずに張り付いています。このヤモリの器官がもつ吸着力(ファンデルワールス力)は近年注目されており、粘着剤を使わないテープの開発にも活用されています。
ヤモリの好きなもの・嫌いなもの
春から秋にかけての気温が高くなる時期に活動し、夜行性の生き物です。肉食性で、生きている小さい虫を食べます。エサになるのは蚊、蛾、コバエ、ゴキブリの子ども、コオロギなど。
一方、ヤモリには天敵となる存在がいません。他の動物・虫の駆除で使えるような音や匂いなども効果があるとはいえません。
ヤモリの駆除に効く方法として、同じ爬虫類であるヘビやトカゲに効く薬剤、木酢液、蚊取り線香、猫を飼うなどがみられます。しかし、効果があるかどうかはケースバイケースで、これならという決定的なものがないのが実情です。
ヤモリは家を守る?
ヤモリは「家守」「守宮」とも書き、古来より家を守る益獣としても知られています。現代でもヤモリがいるとメリットがあるのでしょうか。
ヤモリは蛾やクモ、ゴキブリの子どもなど人間にとって害となる虫を食べてくれるうえ、毒も持たず、臆病で人間や建物に対して危害を加えることはありません。ヤモリがよく家の壁や窓ガラスに貼りついているのは、光に集まる虫を食べるためです。
都道府県によってはニホンヤモリを絶滅危惧種のレッドリストに指定しているところもあります。
昔から人間の身近なところで害ではなく益をもたらしてきた存在であるヤモリ。むやみに駆除せず、できれば傷つけずに部屋から逃がす方法で対処しましょう。
ヤモリを発見する方法
ヤモリが家の中にいることはわかっているけれど見失ってしまった場合、どうしたらよいのでしょう。ヤモリが自分で出ていく可能性も十分ありますが、しっかり外へ出したい、駆除したいとき方法をご紹介しきます。
ヤモリの侵入口に粘着シートを置く
ヤモリが家に入る場合、どこかにヤモリが入り込めるような隙間があります。隙間の近くに粘着シートを置いておくとヤモリが貼り付いたところを捕獲できます。
しかし、この方法だとヤモリを傷つけることになってしまい、片付けするときも後味も気分よくないものです。どうしても駆除しなければならない場合以外は、他の方法を考えましょう。
音を出す
ネズミやゴキブリ駆除のようにモスキート音を出してヤモリを追い出すことはできるのでしょうか。
実際のところ、音を出すという方法ではヤモリに効果はみられません。
たしかに、超音波による害虫駆除グッズには、ヤモリに効果ありと表示されたものも見かけます。ヤモリに対して直接の影響は期待できませんが、害虫が減ることで虫をエサとするヤモリが来なくなり、間接的な効果が見込めます。
夜まで待ち、出口近くの明かりをつけておく
ヤモリは夜行性で、小さい虫を捕食して生きています。昼間は暗くて静かなところでじっとしています。
日中に見失っても夜になって暗い場所にぽつんと明かりをつけておくと、そこに寄ってくる虫を目当てにしたヤモリをおびき出すことができます。
家の中心ではなく、玄関近くや窓の近くの明かりをつけておきましょう。ヤモリが現れたときに外へ逃しやすくなります。
ヤモリの追い出し方や逃がし方
部屋からヤモリを追い出したい。そんなとき、手元にあると便利なアイテムを書き出してみました。
虫取り網
虫取り網は柄に長さもあり、遠い場所や高いところにいるヤモリを捕まえるときにも使えます。網目の中にヤモリの位置も確認でき、ヤモリに直接触れずに捕獲し、逃がすことが可能なアイテムです。
ガラスやプラスチックの瓶
ヤモリを捕獲するのにガラスやプラスチックの瓶も便利です。透明で中が確認しやすく、ある程度の厚みもあります。動きの鈍いヤモリなどには口をふさぐ厚紙などとセットで捕獲に使えます。
ヤモリの侵入経路を絶つ対策
ヤモリが家に入ってくるのは、家の中にエサがあり、快適・好都合な場所だから。
侵入を防ぐためには、ヤモリにとって居心地のわるい環境を作ることが大切です。具体的にどんなことに気をつけるべきかを確認しましょう。
掃除・模様替えをする
ヤモリは小さい虫や水分を求めてやってきます。家の中に虫が発生しないように、掃除やゴミ捨てはこまめに行いましょう。また、台所や風呂場などでは水分を放置せず、きちんと拭き取るのがおすすめです。
ヤモリは日中は静かで暗いところでじっとしています。部屋の中に安住しにくくなるようヤモリが隠れやすい場所をなくしましょう。
家具の配置を変えたり、使わないものや放置しているものは整理・廃棄すると、空間が広くなりヤモリの潜める物陰がぐっと少なくなります。
ヤモリの餌となる害虫対策をする
家の中にゴキブリやクモ、コバエなどが発生しないように掃除以外に害虫対策も検討しましょう。小さい虫はヤモリの主食。エサがなくなればヤモリは別の場所に移動します。
生ゴミ、ほこり、不要なものを同じ場所に長期間放置するのは避けましょう。虫のすみかになってしまいます。
庭のあるおうちでは、庭の草取りや除草をすることで、虫の発生を減らすことができます。
また最近ではLEDライトに虫が集まらないことがわかっています。庭先や廊下などの明かりをLEDに変えるのも、家に虫を集めない方法です。
隙間をふさぐ
ヤモリが家の中に入るのは、どこかに侵入経路があるからです。ヤモリは1センチほどあれば通り抜けてしまいます。
やぶれた網戸、壁のひび割れ、エアホース、換気口、コンのドアと敷居の隙間など、侵入経路になりそうな隙間を見つけたら、テープやコーキング剤でふさぎましょう。
ヤモリは壁や天井でも貼りつくことができます。床や低いところの隙間だけでなく、高さのある場所に隙間がないかも確認しましょう。
ヤモリが家に入らないようにする便利アイテム
ヤモリを家に入れないために活用できる便利なアイテムをご紹介します。
コーキングガン(タジマ(Tajima) コーキングガンコンボイジャスト CNV-JUST)
壁の隙間をふさぐにはコーキングガンがぴったりです。
タジマのコンボイジャストは握りやすく狭い場所にもぴったり押し当てられるデザインです。液垂れ防止機能もついていて初心者でも使いやすいと評判です。
隙間テープ(すき間風防止テープ)
ドアと床の隙間に貼ることができる半透明のすきま風防止テープです。隙間風を防ぐことで冷暖房の効果をよくしたり、音を遮断する効果がありますが、同時に虫やほこりなどの侵入防止にも有効です。
半透明ならインテリアにも響きません。
虫取り網(コンパクト虫取り)
夏休みに子どもと虫取りするときに使える虫取り網です。
柄が伸び縮みするのがおすすめ。
長くできるなら、天井や壁に張り付いたヤモリを捕獲するときも安心。
また、使わないときは柄を短く収納できるのもポイント。
ヤモリが家に入ったらのまとめ
ヤモリが家に入ったときの対策をまとめました。
- 出口に向かってヤモリを追い込み、ヤモリが自分から外へ出るように逃します
- エサになる小さな虫を求めて家に入っています。こまめな掃除や害虫対策を行いましょう
- ヤモリの侵入口となる壁のひび割れや網戸の破れをふさぎましょう
ヤモリは人間にとって益をもたらす生き物。むやみな駆除で消耗するより、人間とヤモリが棲み分けできるような環境を日頃から作っていけるのが理想的ですね。
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