キッチンペーパーは台所での日常の作業に欠かせない存在です。料理の下準備、揚げ物調理だけでなく、洗った食器の水分を拭いたり、ちょっとした水や油を拭きとるときにも使え、非常に重宝なアイテムです。とても便利で使いやすいキッチンペーパーですが、紙の素材なのに電子レンジやオーブンで使うことはできるのでしょうか。紙だと燃える危険性はあるのでしょうか。詳しくみてみました。
キッチンペーパーとクッキングペーパーの違い
調理にも掃除にも使えるキッチンペーパーは、使い捨てできる紙のふきん。プロも調理の場面で活用しています。キッチンペーパーを探すといろいろな種類があり、販売されている商品の名称もさまざまです。これらには何か違いがあるのでしょうか。
キッチンペーパーの特徴
キッチンペーパーは、キッチンで料理や掃除などに広く使える使い捨て可能な紙のふきんです。キッチンペーパーという名称のほかに、キッチンタオル、ペーパーふきん、ペーパータオル、使い捨てふきんという名前で売られているものも見かけます。
キッチンペーパーは紙でありながら、吸水・吸油力にすぐれ、濡れた状態でもたやすく破れないところが特徴です。ちょっとした拭き掃除や手拭き、アルコール消毒にも使えますし、調理の場面でも揚げ物の下に敷いたり、野菜の水を切ったり、使用後のフライパンの油を拭いたりするのにも活躍します。
キッチンペーパーの素材は紙と同じパルプですが、吸収力と耐久性の秘密は加工にあります。パルプは紙を作るときに使用する植物繊維のことで、キッチンペーパーのパルプは紙の目が密になっているのが特徴です。このパルプでできた紙に凸凹をつけるエンボス加工を施し、水分や油を吸収しやすい作りにしています。
クッキングペーパーの特徴
cooking(料理)と名前についているように、従来のキッチンペーパーの役割にくわえ、調理の場面での使いやすさを高めたものがクッキングペーパーです。
クッキングペーパーも素材は同じくパルプですが、フェルト加工されているため、厚手でふっくらとしています。長めでコシのあるパルプを立体的にからませているため目が粗く厚みがあり、パルプの隙間に水や油を吸収・保持することができます。熱にも強く、油を濾したり、煮物の落としぶたにしたり、食材を包んで蒸したり、電子レンジで使ったりすることも可能です。
パルプ素材にレーヨンやポリエステルを混ぜて強度を高めた不織布タイプのキッチンペーパーもあります。もみ洗いしても破れず、熱にも強いため調理にも使えますが、パルプ素材のペーパーより価格はお高めです。
クッキングシートは?
キッチンペーパーと似た名称のものにクッキングシートがあります。こちらも使い捨てできる紙のシートですが、一般に髪の表面がシリコン樹脂で加工され、ツルツルとしていて、料理がくっついたり、こびりついたりしないという特徴があります。
熱への耐久性があり、オーブンでクッキーやケーキを焼くときの天板や型に敷くのに使われます。また耐水・耐油性も高い一方で、蒸気を通すため、落としぶたや蒸し料理にも使えます。
ただし、日清紡の「コットン100%クッキングシート」という商品は、クッキングペーパーと同じように調理に使えるコットン素材のシートです。紙(ペーパー)ではなくコットン100%の不織布のシートでできているため、ペーパーの名前がついていませんが、他のキッチンペーパーと同じように水や油の拭き取りに使え、洗ってまた使える丈夫さがあります。他のクッキングシートと違ってオーブンや直火では使用できないため注意が必要です。
電子レンジで発火する理由とは
キッチンペーパー・クッキングペーパーは調理で大活躍のアイテムですが、電子レンジ調理で発火の危険があると考えると少し不安です。電子レンジから発火するというのは、一般にどんな場合なのでしょうか。
電子レンジの加熱のしくみ
電子レンジは2500MHzほどの周波数をもった電磁波(マイクロ波)を利用して、食品を加熱する調理器具です。マイクロ波が含むプラスとマイナスの極がすばやく入れ替わることで振動が起こり、この振動が食品に含まれる水の分子を振動させ、そのときに起こる熱で加熱が起こります。
この振動は水分子にはたらきかけますが、金属は反射し、プラスチックや陶器は透過されます。クッキングペーパーなど紙は内部に水分を含んでいるため食品と同様に加熱されてしまううえ、パルプ以外に混合物があると、発火の危険性が考えられます。
電子レンジ発火の原因:庫内の汚れ
電子レンジの発火の原因でもっとも多いのは、電子レンジ庫内の汚れの付着による発火です。食材のカスなど小さな汚れでも壁に付着していた場合、汚れにマイクロ波が集中し他の場所よりも高温となるため、発煙・発火のおそれが高まります。
電子レンジの汚れはこびりつきやさびの原因ともなるため、使用後にきちんとこまめに掃除して取り除くようにしましょう。
電子レンジ発火の原因:加熱しすぎ
にんじん・じゃがいもなどの根菜類や、ごはん・パンなどを温めるとき、長時間にわたる加熱が発火の原因となることがあります。
国民生活センターによると、さめた焼き芋をラップなしでレンジにかけたところ、600Wで4分程で発煙したという報告もあります。思ったより短時間で火がついて燃えてしまうことがあります。目を離さず、長時間にならないよう注意して利用しましょう。
電子レンジの取扱説明書には、油のついたもの、水分の少ないものをレンジで加熱しすぎないようにと注意書きがあります。取扱説明書にある食品ごとの加熱早見表を確認のうえ、表示に従って安全に使用しましょう。
キッチンペーパーは電子レンジで使える?
電子レンジでの加熱にキッチンペーパーを使いたいときは、どんなことに気をつけて使えばいいのでしょうか。
キッチンペーパーの注意書きを必ず確認する
キッチンペーパーを電子レンジで使いたい場合は、まず商品の注意書きを確認し、パッケージに「電子レンジ不可」の記載がある場合は絶対に使わないようにしましょう。
キッチンペーパーはパルプが主な素材ですが、強度を増すためにプラスチックやポリプロピレンが含まれているものもあり、これらの素材は電子レンジで加熱すると発火のおそれがあります。素材やパッケージの注意書きを確認しましょう。
ペーパーに水を含ませて短時間ですませる
特にパッケージにレンジ不可の記載がない場合も、ペーパーには水分を含ませ、短時間の加熱ですませましょう。
エンボス加工のキッチンペーパーは水や油の吸収にはすぐれているものの、水に溶けたり、熱に弱いものもあり、調理には向かないものもあります。パッケージや商品サイトで詳細を確認しましょう。
電子レンジで野菜などを蒸す・茹でるなど火を通したい場合、根菜やいもなど水分が少ない食材はレンジで加熱することで水分がなくなり、発火しやすい状態となります。キッチンペーパーで包むときできるだけ水分を多く含んだ状態を保つよう、1枚ではなく2〜3枚程度重ねたものに水分を含ませて使うようにしましょう。
また、加熱時間は短時間にとどめます。紙が自然発火するのは300度くらいなので、電子レンジで数分あたためるくらいであれば発火の危険性は低いですが、それ以上の温めを行う場合は、レンジの取扱説明書などを確認したり、他の方法を考えましょう。
電子レンジを使う時の注意点
電子レンジの庫内をきれいにしておくことも大切です。食材がこぼれていたり、カスが残っていると、加熱によって炭化し、発火の原因となります。
加熱しすぎが発火の原因となります。短時間の使用にとどめ、加熱中はレンジのそばを離れないようにしましょう。
電子レンジで利用することが多い場合は、電子レンジ調理ができるクッキングペーパーに切り替えるなど、使い分けるのがおすすめです。
クッキングペーパーは電子レンジで使える?
水・油の吸収だけでなく調理での利用にぴったりなクッキングペーパーなら、電子レンジで使えるのでしょうか。発火しないように気をつけることはあるでしょうか。
クッキングペーパーは電子レンジで使える
クッキングペーパーのフェルト加工されたペーパーは、エンボス加工に比べて厚手で熱への耐性もあり、電子レンジ調理での使用も可能です。
水や油を吸収するだけでなく、長い時間水につかっていても溶けたり破れたりしないため、食材を包んで温野菜や蒸し料理を作ったり、火が通りにくい野菜の下茹でにも活用できます。
クッキングペーパーを電子レンジで使う場合も、必ず水やタレなど水分を含ませて食材をくるむようにしましょう。
電子レンジで使うときの注意点
電子レンジの庫内を清潔に保ち、食材のかすやこぼした部分が炭化・発火しないよう取り除いておきます。
加熱しすぎると水分が失われて発火する可能性があります。電子レンジで加熱中はその場を離れず、加熱時間も長くならないよう注意しましょう。
オーブンでキッチンペーパーやクッキングペーパーは使える?
キッチンペーパー、クッキングペーパーのいずれも、オーブン、トースター、直火では使えません。オーブンレンジの電子レンジ機能では使えるペーパーも、オーブン機能では使えないので十分に注意を。
紙の自然発火は300〜400度ほどです。電子レンジは水分を含む食材に電磁波(マイクロ波)を当てることで100度ほどに加熱します。一方、オーブンは生地や食材を焼き上げる機能のため、庫内温度は250度を越えることも。オーブンはレンジの倍近い高温での使用となり、紙そのものの発火の危険も高まります。
揚げ物を温め直したり、焼きいもを作ったりするのにオーブンを使うときは、キッチンペーパーではなくクッキングシートやアルミホイルを利用しましょう。
電子レンジで使用できるキッチンペーパーとクッキングペーパー
具体的に電子レンジで使用できるキッチンペーパー・クッキングペーパーにはどんなものがあるのでしょうか。電子レンジでも安心なおすすめのキッチンペーパーを紹介していきます。
リード クッキングペーパー
リードクッキングペーパーはフェルトタイプのクッキングペーパーで、電子レンジ調理にもおすすめです。パッケージや商品サイトでは電子レンジでのクッキングペーパー活用法がくわしく紹介されています。
濡れたペーパーで野菜を包んで温野菜にしたり、揚げ物の温め直しの際に下に敷いて油を吸収させたりという定番の使い方から、油揚げの油抜き、豆腐の水切り、こんにゃくの下茹でなどの下処理、ちょっとした茹で・蒸し調理まで活用できます。
商品サイトでは、吸収力の高いふんわりとしたフェルトタイプの特徴を生かした「味しみレシピ」も充実。クッキングペーパーに味付け用のタレを染み込ませて食材を包むと、ペーパーが表面にぴったり密着するだけでなく、ペーパーが含んだタレが電子レンジの電磁波に反応して食材にむらなく均等に火が通ります。サイトではチャーシュー、カレー、煮物など、おいしくヘルシーで手軽なレシピが見られます。
エリエール キッチンペーパー超吸収
エリエールのキッチンペーパー超吸収はメーカーオリジナルのエンボス加工によって水で濡れても破れにくいことが特徴です。パルプ100%で、電子レンジでも使えます。ただしオーブン機能は不可。
水や油をしっかり吸収するので、冷凍した食材の解凍や野菜の水切りに大活躍。レンジでは揚げ物の温め直しのときに下に敷いたり、水を含ませて食材の下ごしらえや温野菜などに使えます。濡れても破れにくくキッチンペーパーの繊維が食材にくっついたりすることもありません。同じキッチンペーパーで無漂白タイプもあります。
スコッティ キッチンタオルボックス
スコッティのキッチンタオルはロールタイプの他にボックス型もあり、ティッシュのように片手で取り出せて、使うたびにペーパーをカットする必要がなく、使い勝手は抜群です。
メーカーによるとこのキッチンタオルは、700W、3分以内のあたため程度なら電子レンジで使用可能です。電子レンジの種類によって加熱時間が異なるため、どのくらいの加熱時間になるかは電子レンジの取扱説明書を見て必ず確認しましょう。長時間の加熱やオーブン・トースター機能では使えません。
キッチンペーパーが電子レンジで使って発火したら
十分注意したつもりでも、キッチンペーパーを電子レンジで使って、誤って燃えてしまったときは、どうしたらよいのでしょう。
電子レンジの中で発火・発煙しているのに気がついた時は、あわてずに、まず電子レンジの扉を開けないようにします。扉を開けると、急に新しい空気に触れることになってしまうため、火が大きく燃えることになってしまいます。
電子レンジの扉は開けずに、電子レンジの動作を止めて、電源を抜きましょう。
そして電子レンジ内で火が消えるのを待ってください。
まだ火が消えない場合は、水や消火器で火を消すようにしましょう。
キッチンペーパーを電子レンジで使用する際は
キッチンペーパーには「キッチンペーパー」「クッキングペーパー」があります。調理向けの「クッキングペーパー」なら電子レンジで使えます。「キッチンペーパー」は商品によって電子レンジNGのものもありますので、注意書きを確認しましょう。
電子レンジの発火は「庫内の汚れ」「加熱しすぎ」がおもな原因です。電子レンジでの利用ではペーパーに水分を含ませることと、加熱時間を短時間にすることを気をつけましょう。
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