- 「土鍋は洗剤で洗ってはいけないの?」
- 「土鍋のこびりついた汚れを、洗剤なしでどうやって洗うの?」
- 「土鍋にカビが生えるって本当?」
土鍋はお手入れが大変だと聞いたことはありませんか?
金属の鍋と同じように洗っていると、割れてしまったり、カビが生えてしまったりします。
こちらの記事では、
- なぜ洗剤を使ってはいけないのか
- 洗剤を使わない土鍋の洗い方
- 土鍋を長く使うために必要なコツ
を紹介します。
土鍋を洗う時には、ちょっとしたコツが必要です。
ちょっとしたコツを覚えて、土鍋を末永く使っていきましょう。
土鍋が洗剤を吸収すると言われる理由
土鍋には、もともと空いている穴と、使っていくうちに入る亀裂があります。
その穴と亀裂が、水分や洗剤を吸い込みやすくなっているのです。
もともと空いている穴
土鍋には見えない位小さい、無数の穴が空いています。
その理由は、土鍋を作る土に含まれている、有機物です。
有機物は土鍋を窯で焼きあげるときに蒸発し、その部分が空洞になります。
土鍋の内側はツルツルとしていますよね。
内側は、空洞を埋めるために釉薬(ゆうやく)がかかっているのです。
しかし、外側の底の部分は、空洞がそのままになっています。
水分を吸収しやすく、汚れや洗剤が入り込むと、カンタンには取れません。
使っていくうちに入る亀裂
内側に塗ってある釉薬(ゆうやく)は、ガラスのような性質を持っています。
使っていくうちに、亀裂が入ってしまいます。
お使いの土鍋をよく見ると、小さな亀裂が入っていませんか?
亀裂の理由は、ガラスと土の膨張率の違いです。
熱せられて大きくなる土の部分と、あまり大きくならないガラス部分の差ができて、割れてしまうのです。
穴と亀裂から水分が入る
このように、土鍋には穴と亀裂があります。
この穴と亀裂が水分を吸収しやすいため、洗剤も吸収すると言われているのです。
洗剤でサッと洗う程度であれば、洗剤の染み込みはほとんどありません。
しかし洗剤で長時間つけおき洗いをすると、洗剤が染み込んでしまいます。
土鍋を洗う時は、なるべく水とスポンジだけで洗うようにしましょう。
どうしても洗剤を使いたい場合は、短時間でサッと使い、よく水洗いしてください。
土鍋の洗い方の手順
土鍋の洗い方のポイントは3つです
- 冷めてから
- 水とスポンジで優しく
- ひと晩~1日乾かす
1.冷めてから
土鍋がまだ熱い状態で、水を入れて洗っていませんか?
これは土鍋が割れる原因になります。
冷えて小さくなる部分と、熱いまま大きくなった部分との差ができて、形を保てなくなってしまうからです。
土鍋を洗い始めるときは、完全に冷めてからにしてください。
2.水とスポンジでやさしく
土鍋の内側をコーティングしている釉薬(ゆうやく)はガラス質のため、繊細です。
たわしなど、固いものは使わないでください。
コーティングが取れてしまう恐れがあります。
また、洗剤を吸収してしまい、匂いがつくこともあるので、水のみで洗うのが基本です。
水とスポンジで優しく洗いましょう。
3. ひと晩~1日乾かす
土鍋は、ひと晩~1日乾かしてから保管することが大切です。
濡れた状態で火にかけると、急激な温度変化で土鍋が割れる恐れがあります。
また、水分が染み込んだまま保管すると、カビが生えてしまうことも。
特に土鍋の裏側は釉薬(ゆうやく)がかかっていないため、水分を吸収しやすくなっています。
土鍋を乾かす時は、裏側を上にして、斜めに立てかけるとよいでしょう。
土鍋のつけおき洗い
土鍋のつけおき洗いはやめましょう。
水と一緒に、汚れや洗剤の成分が土鍋に吸収されてしまいます。
裏側の釉薬(ゆうやく)がかかっていないザラザラしている面は、特に吸収しやすくなっています。
さらに、奥まで水分が入り込んでしまうと、土鍋が乾きにくくなります。
こびりついた汚れが気になる場合は、あらかじめ、ぼろ布やキッチンペーパーで汚れをぬぐってから、サッと水で洗うとよいでしょう。
土鍋の外側の洗い方
スポンジで優しく洗う
土鍋の外側はゴシゴシ擦らず、スポンジで優しく洗いましょう。
土鍋の外側は釉薬(ゆうやく)がかかっていないため、とても傷つきやすくなっています。
たわしなどで擦ると、表面が剥がれてしまう恐れがあります。
洗剤は使わない
土鍋の外側は、洗剤の成分を吸収しやすいため、なるべく使わないようにしましょう。
水とスポンジで洗うのが基本です。
洗剤を使いたい場合は、短時間でサッと洗いましょう。
よく乾かす
洗った後は、よく乾かすことも重要です。
外側を上にして、風通しのよいところでひと晩、または1日乾かしておきましょう。
土鍋を使った後のお手入れ
土鍋はちょっとした工夫をするだけで、長く使うことができます。
長く使うことで風合いが良くなり、自分好みの土鍋に変化していくでしょう。
ここでは3つのお手入れを紹介します。
食べ物を入れたままにしない
食べきれなかった料理を、鍋に入れたまま保管していませんか?
土鍋に染み込んだ食材の成分が、カビの原因になるので、やめましょう。
さらに、食材の匂いが土鍋に染み込んで、取れにくくなってしまいます。
土鍋を使った後は、食材をお皿に移し、土鍋はその日のうちに洗ってください。
急激な温度変化をさける
土鍋は急に温まったり冷めたりすると、割れることがあります。
鍋全体は冷えているのに、一部だけが温まると、その部分だけがどんどん膨らんでいきます。
膨らんだ部分に、他の部分がついていけません。
土鍋は割れてしまいます。
鍋料理をした後、すぐに冷たい水で洗ったり、冷蔵庫で保管していた土鍋をすぐに火にかけたりすることは、やめましょう。
鍋料理をした後は、よく冷ましてから洗います。
冷蔵庫で保管していた土鍋を火にかける前に、常温に戻しておくとよいでしょう。
定期的に目止めをする
土鍋の手入れは特殊で「目止め」という作業をしなければなりません。
目止めとは、土鍋に空いている小さな穴を埋める作業です。
(詳しくは「土鍋を最初に使う時は片栗粉を使う?」)
土鍋を最初に使う時にも必要ですが、定期的に「目止め」をすることも大切です。
せっかくした目止めも、長く使っていくうちに取れてしまいます。
また、釉薬(ゆうやく)の部分に新しいヒビが入ることもあるので、そのヒビを埋める必要があるでしょう。
定期的な目止めであれば、おかゆを炊くことをオススメします。
味付けはせず、水と米のみで作るとよいでしょう。
土鍋で炊いたおかゆはとてもおいしいので、一石二鳥ですね。
材料(2人分のおかゆ)
- 米:1/2合
- 水:600ml
(米:水の割合を1:7にすると基本のおかゆ。やわらかめに作る時は1:9がオススメ)
作り方
- 研いだお米を土鍋に入れる
- 土鍋に水を入れる
- 弱火で火にかける(沸騰するまでは触らないようにしましょう)
- 沸騰したらしゃもじでサッと混ぜる
- 20分~30分弱火で炊く(フタはしない・時々しゃもじで混ぜる)
- 好みの固さになったら完成
土鍋のFAQ
土鍋を最初に使う時は片栗粉を使う?
土鍋を最初に使う時は、片栗粉などで「目止め」をすることが必要です。
目止めをすると、穴や亀裂が塞がって、土鍋が割れにくくなり、臭いも染み込みにくくなります。
目止めには、でんぷん質のものを使うとよいでしょう。
良く使われているものは、
- 片栗粉
- 小麦粉
- お米
などです。
最初の目止めは、土鍋の匂いや成分が、でんぷん質についてしまいます。
お米よりは、捨てやすい片栗粉や小麦粉などがオススメです。
目止めの手順
材料
- 土鍋の直径が22cmの場合
- 片栗粉又は小麦粉:大さじ1.5~3
- 土鍋の直径が28cmの場合
- 片栗粉又は小麦粉:大さじ3~6
- 水:土鍋の8分目
手順
- 買ってきた土鍋を水とスポンジで洗う
- ひと晩充分に乾かす(濡れたまま火にかけると、土鍋が割れる恐れがあります)
- 土鍋に、片栗粉又は小麦粉を入れる
- 水を入れる
- 片栗粉又は小麦粉が水によく溶けるまで、しゃもじでかき混ぜる
- 弱火~中火で火にかけて、沸騰させる(土鍋は強火にかけると、急激な温度の変化で割れます)
- 沸騰したら弱火にする
- そのまま15分~30分沸騰させ続けておく
- 火を止め、土鍋が完全に冷めるまで、3時間~ひと晩置いておく
- 中身を捨て、土鍋を水洗いする
- 半日~1日、よく乾かしてから保管する
土鍋を洗う時は何で洗う?
土鍋を洗う時は、水とスポンジが基本です。
洗剤やタワシは使いません。
洗剤を使うと、洗剤の成分が土鍋に染み込む恐れがあるためです。
タワシを使うと、土鍋の表面が削れてしまったり、コーティングが取れてしまったりする恐れがあります。
お米や具材が張り付いている場合は、お湯を入れて、しゃもじなどで剥がしていくとよいでしょう。
土鍋が十分に冷めたら、水とスポンジで洗うだけで、キレイになります。
土鍋のこびりつきが取れない
水とスポンジで取れない汚れは、お湯を使うのが基本です。
お湯でも土鍋のこびりつきが取れない場合は、重曹を使いましょう。
こびりついた汚れは焦げつきです。
焦げつきは酸性の汚れのため、アルカリ性の重曹で落とすことができます。
クレンザーやたわしは使わないでください。
土鍋の表面が削れたり、クレンザーの臭いが移ったりします。
材料
- 重曹大さじ3
- (水に対して5%くらいが目安です)
- 水:土鍋の8分目
手順
- 水を土鍋に入れ、重曹を加える(沸騰したお湯に重曹を入れると、吹きこぼれるため、水から入れます)
- 弱火~中火で火にかけて、沸騰させる(土鍋は強火にかけると、温度変化で割れる恐れがあります)
- 沸騰したら、弱火にし、10分ほど煮る
- 火を止め、完全に冷めるまで置いておく
- 冷めたら、水とスポンジで洗う
- よく乾かして保管する
重曹で浮いた汚れが、水とスポンジでカンタンに取れるでしょう。
しかし、重曹を使うと、せっかくの目止めが取れている可能性があります。
片栗粉や小麦粉を煮るか、おかゆを作って、もう1度目止めをするとよいでしょう。
(詳しくは「目止めの手順」)
土鍋の保管方法
土鍋を保管する時のポイントは、湿気を避けることです。
湿気が多い状態で保管すると、カビが生えてしまいます。
手順
- 洗った土鍋をよく乾かす(できれば、1日以上天日干しをしてください)
- 新聞紙で、フタと土鍋をそれぞれくるむ
- 棚の上など、湿気のたまりにくいところに保管(シンク下など、湿気のある場所は避けましょう)
新聞紙が湿気を吸収してくれます。
フタと土鍋の間に、乾燥剤を入れておくのもオススメです。
土鍋のカビの取り方
丁寧にお手入れをしていても、土鍋にカビが生えてしまうことがあります。
カビは沸騰したお湯で10分加熱すれば、死滅します。
しかし、そのまま料理をするのは心配ですよね。
カビの臭いが、土鍋に染み込んでいる場合もあります。
カビが生えた場合は、茶葉(緑茶)や、お酢を使って、殺菌と臭いとりを同時にしましょう。
重曹には殺菌作用がありませんので、ご注意ください。
茶葉でカビを殺菌する
材料
- 茶葉(緑茶):ひとつかみ
- 水:土鍋の8分目
手順
- 水とスポンジで、カビをこすり落とす
- ひと晩土鍋を乾かす
- 乾いた土鍋に水を入れる
- 茶葉を入れてかき混ぜる
- 弱火~中火で火にかけて、沸騰させる(土鍋は強火にかけると、温度変化で割れる恐れがあります)
- 沸騰したら弱火で10分ほど煮る
- 火を止め、完全に冷めるまで置いておく
- 完全に冷めたら、中身を捨て、水で洗う
- よく乾かして保管(できれば、1日以上天日干しをしてください)
お酢でカビを殺菌する
材料
- お酢:大さじ1.5~3
- 水:土鍋の8分目
手順
- 水とスポンジで、カビをこすり落とす
- ひと晩土鍋を乾かす
- 乾いた土鍋に水を入れる
- お酢を入れてかき混ぜる
- 弱火~中火で火にかけて、沸騰させる(土鍋は強火にかけると、温度変化で割れる恐れがあります)
- 沸騰したら弱火で15分ほど煮る
- 火を止め、完全に冷めるまで置いておく
- 完全に冷めたら、中身を捨て、水で洗う
- よく乾かして保管(できれば、1日以上天日干しをしてください)
茶葉やお酢を使うと、殺菌とカビの臭いとりが同時にできます。
しかし残念ながら、カビのシミを取ることはできません。
ほとんどのカビは60℃以上で10分加熱すると死滅しています。
ですので、シミが残っていても、カビの成分が残っていることはありません。
料理をする度に加熱され、殺菌されますので、あまり気にしないようにしましょう。
ひびが入ったら
小さなヒビ
土鍋を使っていくと、小さなヒビが広がっていきます。
このヒビは貫入(かんにゅう)と呼ばれ、コーティングをしている釉薬(ゆうやく)の表面が割れている状態です。
これは土鍋を使っていると、避けては通れないでしょう。
むしろ、小さなヒビが入ることで、大きなヒビが入って割れることを防いでくれます。
定期的に「目止め」をすれば、大きなヒビが入ることはありません。
(詳しくは:「目止めの手順」)
大きなヒビ
大きなヒビは、危険です。
フチや取手まで大きく伸びているヒビは、割れる直前のサインです。
この状態で料理をすると、土鍋が割れる恐れがあります。
大きなヒビを見つけたら、土鍋を買い替えるようにしましょう。
土鍋の洗い方まとめ
- 土鍋には穴と亀裂があり、洗剤を吸収しやすい
- 土鍋を洗う時は
- 冷めてから
- 水とスポンジで優しく
- ひと晩~1日乾かす
- 土鍋のつけおき洗いはしない
- 外側を洗うときは、スポンジで優しく
- 土鍋が長持ちするコツは
- 料理を入れたままにしない
- 急激な温度変化を避ける
- 定期的におかゆを炊いて目止めをする
- 初めて使うときの目止めは、片栗粉か小麦粉がオススメ
- 土鍋を洗う時は、水とスポンジが基本。洗剤は使わない
- こびりつきが取れないときは、重曹を水から沸かして煮る
- 土鍋を保管するときは、新聞紙で包んで、湿気の少ない場所へ
- 土鍋のカビは、茶葉又はお酢で殺菌
- 小さいヒビは良いヒビ。大きいヒビは悪いヒビ
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