夏のスタミナ食といえばうなぎ。土用の丑の日が近づくといたるところで「うなぎ」の文字が目に入りますよね。お店で食べる炭火で焼いた本格的なうなぎもいいけれど、スーパーでも美味しいうなぎが手に入ります。うなぎをメインにした献立で暑い夏を乗り切りたいですね!
うなぎに含まれるおもな栄養素
うなぎは古くから滋養強壮の食べ物として知られていました。古代の歌集『万葉集』に、夏痩せした友人にうなぎを食べるようにすすめる歌がのっているほどですから、日本人にとってスタミナ食といえばうなぎなのかもしれません。
実際うなぎには、ビタミンA、ビタミンB群、DHA・EPA、亜鉛、ミネラル、鉄、カルシウムなど、さまざまな栄養素がバランスよく含まれています。とくに豊富に含まれている栄養素についてまとめました。
ビタミンA
うなぎといえばビタミンAが有名ですよね。鶏肉や豚肉のレバーに多く含まれる栄養素ですが、魚介類の中ではうなぎに豊富に含まれていることが知られています。
ただし脂溶性ビタミンの一種であるビタミンAは体のなかに残りやすいので、摂りすぎるとかえって健康に害があるともいわれています。
ビタミンB1
ビタミンB1は体内で糖質をエネルギーに変換する必要な栄養素。
ビタミンB1が足りないと食欲がなくなったり、だるくなったりする可能性があります。ひどくなると脳の神経に障害がでることもあります。
ビタミンB2
ビタミンB2は、成長を促進する栄養素でもあるので「発育のビタミン」ともいわれる成長期の子どもには欠かせない栄養素。不足すると口内炎や口角炎などを引き起こすことがあります。
DHA・EPA
うなぎに含まれる脂質にはDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)があります。
どちらも血液をさらさらにして動脈硬化や血栓を防ぐ他、血圧を下げる、善玉コレステロールといわれるLDLコレステロールを増やすなどの効果があるといわれています。
脳梗塞や心筋梗塞を防ぐ可能性があるので、成人には積極的な摂取がすすめられています。どちらも体内では合成できない栄養素なので、食品から摂取する必要があります。
うなぎに含まれない栄養素
うなぎは炭水化物である白米と一緒に食べるとほぼ完全食になるといわれています。「ほぼ」なのはビタミンCと食物繊維は含まれないからです。
うなぎをメインにした献立を考えるときは、ビタミンCと食物繊維が摂れる野菜のおかずをくわえると、栄養のバランスがよくなりますね。
うなぎに合う付け合わせのおかず
うなぎといえば蒲焼。脂がのったうなぎを醤油とみりんをたっぷり使ったコクのあるタレに漬けて焼いた蒲焼は、それだけでボリュームのあるおかずです。うなぎにから揚げやトンカツなどの油っこいおかずを組み合わせると胃腸に負担がかかってしまいます。カロリーの摂りすぎも心配になりますよね。またスパイスの利いた個性の強い味も、うなぎの蒲焼のこってりした味とぶつかりそうです。
酢の物
味が単調になりがちなうなぎの蒲焼。そんなとき酢の物があると口の中をさっぱりさせてくれて、さらに美味しく食べ進められそうです。
酢の物に入れる具材は、きゅうり、わかめ、タコ、しらすなどが合いますが、きゅうりはぜひ入れてくださいね。ふっくら焼いたうなぎとザクザクしたきゅうりの歯ごたえは相性抜群。うなぎの蒲焼ときゅうりで作る酢の物「うざく」は関西地方では定番のおかずです。
おひたし
味の主張が強すぎないおひたしはどんな料理とも好相性。もちろんうなぎの蒲焼とも合います。熱々のうなぎの蒲焼に合うようにおひたしはしっかり冷やしておきましょう。ビタミンCを豊富に含むほうれん草のおひたしを献立にくわえれば、栄養のバランスもOKです。
煮物
野菜を中心にしたやさしい味の煮物は、うなぎの蒲焼の味を引き立ててくれるだけでなく、うなぎに足りない栄養をおぎなってくれます。またふわっとした食感のうなぎの蒲焼と歯ごたえのある根菜の煮物は食感の違いも楽しめます。
ひじきの煮つけ、切り干し大根、筑前煮、ふろふき大根など、煮物に使われる根菜には食物繊維が多く含まれています。とくにひじきと切り干し大根は食物繊維が豊富です。ひじきは甘辛く煮るのが定番ですが、うなぎの付け合わせのおかずにするときは、あっさりめの味に仕上げた方が合いそうです。
おしんこ
おしんこは生の野菜を漬けてあるのでビタミンCが豊富です。おしんこのポリポリした食感は、ふわっとしたうなぎの食感と好対照。献立のいいアクセントにもなりそうです。
大根、にんじん、長芋などのぬか漬けも合いますが、なすやきゅうり、みょうがなどの夏野菜の浅漬けのさっぱりした味わいは土用の丑の日に食べるうなぎの献立にぴったりです。
うなぎに合う汁物
献立に汁物があると食事が喉をとおりやすくなります。とくにうなぎのようなこってりした料理がメインにある場合、具沢山の汁物よりも、どちらかというと具材をしぼったシンプルな味わいの汁物の方が味を引き立ててくれそうです。
お味噌汁
うなぎの蒲焼には味わいのくっきりした赤だしの味噌汁がよく合います。具材はワカメ、豆腐、油揚げ、ほうれん草などの他に、しじみやあさりなどの貝類もよく合います。
すまし汁
出汁をしっかりとったすまし汁もうなぎの蒲焼に合います。具材は麩や三つ葉、溶き卵などの他に、根菜や鶏肉を入れても食べごたえがでて、うな丼などおかずが少ない献立に合いそうです。
肝吸い
うなぎ屋さんでうなぎを頼むと必ず付いてくる肝吸い。実はうなぎの肝にはうなぎの身よりも鉄やビタミンAなどの栄養素が豊富に含まれています。
うしお汁
うしお汁の滋味あふれる味わいは、うなぎの蒲焼の味を引き立ててくれます。しじみやあさり、はまぐりなど貝類の出汁はうなぎとよく合います。
うなぎを使ったレシピ
うなぎの蒲焼をいつもと違う味で食べるレシピをご紹介します。
ひつまぶし
うなぎ料理といえばうな丼、うな重の他に「ひつまぶし」があるのはご存じでしょうか?お店ではお櫃で提供されたうな重を、薬味や出汁で味をかえて食べますが、市販のうなぎの蒲焼と白米、薬味と出汁があれば家でも作ることができます。
まず一人前のうなぎの蒲焼を4等分にします。一切れ目は白米にのせてタレをかけ普通のうな丼にして食べます。二切れ目は海苔やねぎ、わさびや三つ葉などの薬味を入れてうなぎの混ぜご飯にします。三切れ目は薬味をのせてその上から出汁をかけ、うな茶漬けにします。最後の一切れはいちばん気に入った食べ方で食べます。
一度に三とおりの味が楽しめるひつまぶし。いつもと違う食べ方をしたいときにおすすめです。
うなぎの混ぜ寿司
こちらもいつもと違う食べ方をしたいときや人が集まるときにいかがでしょうか?
ちらし寿司の要領で作るうなぎの混ぜ寿司。具材は市販のうなぎの蒲焼、きゅうり、錦糸、いりごまだけなのでちらし寿司より簡単に作れそうですね。食欲があまりないときでも、酢飯のさっぱりした味なら食べ進めることができそうです。
うなぎの献立
うなぎをメインにした献立をたてるときは、汁物と野菜のおかずを合わせると、栄養面でのバランスがよくなります。
うなぎの蒲焼がメインの献立
うなぎの蒲焼をおかずとして提供するときは、鶏肉が入ったボリュームのある筑前煮を副菜にすると、魚と肉の摂れるバランスのよい献立になります。口直しの酢の物はおひたしやおしんこでも代用できます。
- うなぎの蒲焼
- ご飯
- しじみの味噌汁
- きゅうりとワカメとしらすの酢の物
- 筑前煮
うな丼がメインの献立
うな丼と汁物だけで献立として成り立ちますが、栄養面を考えるとあと一品あるとうれしいですね。でもせっかく手軽に食べられるどんぶり物に、わざわざ手のこんだおかずを用意するのはちょっと…。そんなときはキャベツ、きゅうり、にんじんなどの野菜が簡単に摂れる浅漬けがぴったりです。
- うな丼
- 肝吸い
- 浅漬け
うなぎの混ぜ寿司がメインの献立
うな丼やうな重が胃腸に重く感じられるときは混ぜ寿司がおすすめです。細く切ったうなぎの蒲焼ときゅうりと錦糸卵の組み合わせは見た目もさわやか。汁物は食欲のないときでも喉をとおりやすい、具を少な目にしたすまし汁にします。
甘辛く味をつけたひじきの煮つけが混ぜ寿司の酸味のある味を引き立ててくれるでしょう。またひじきに含まれる食物繊維で栄養バランスもよくなります。切り干し大根の煮物でも代用できます。
- うなぎの混ぜ寿司
- すまし汁
- ひじきの煮つけ
ウナギの献立まとめ
土用の丑の日にうなぎを食べる習慣は江戸時代からはじまったといわれています。諸説ありますが、夏場にうなぎの売り上げが少なくなって困ったうなぎ屋さんが平賀源内という学者に相談したところ、土用の丑はうなぎを食べる日と宣伝するようにアドバイスをもらったことが起源だといわれています。夏本番を前に土用の丑の日にうなぎを食べるのは、うなぎの栄養価の高さを考えると理にかなっていますね。
お店で食べるうな丼やうな重も美味しいけれど、市販のものを買えばアレンジもきくし、お財布にも優しくうなぎが食べられます。土用の丑の日にだけにかぎらず、夏はうなぎを食べてスタミナをつけたいですね。
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