ドライアイスを使った自由研究をしたことがある人もいるかもしれませんね。この記事では、ドライアイスの遊び方やおもしろ実験をご紹介します。
ドライアイスの特徴は?いつ使う?
白くてひんやりとしたドライアイス。いろんな遊び方やおもしろ実験ができますが、そもそもどんな特徴をしていて、どんな場合に使われているのでしょう。
ドライアイスの用途
ケーキやアイスを買ったときについてくるドライアイス。小さいサイズでも食べ物を冷たく保つことができる保冷剤に使われています。非常に低温のため、冷蔵庫や冷凍庫などの電源がない状況でも使えるスグレモノです。
食品を冷やしておく以外にも、テレビやステージのスモーク演出にも使われます。舞台上で足元に白い煙のようなものが流れていることがありますね。ドライアイスが気化するときに空気中の湿気にふれて出る白い煙が、幻想的な演出に使われます。
さらにドライアイスが溶けると、気化して二酸化炭素(炭酸ガス)となることから、柿の渋抜きや、機械の洗浄などにも使われています。
ドライアイスは気化しつづける
ドライアイスは二酸化炭素が固体になったものです。氷のような見た目をしていますが、どうして冷たくなったり、溶けても周りが水浸しになったりしないのでしょうか。
学校の理科の授業で習ったことがあると思いますが、物質は温度や気圧などの条件によって「気体・液体・固体」という3つの形をとります。水の場合は、温度が上がると水蒸気に、温度が下がると氷に変わります。ドライアイスは、二酸化炭素が気体から固体
へと形を変えたものなのです。
ドライアイスの温度はマイナス78.5度。非常に冷たく、通常の気圧のもとではドライアイスは「昇華(気化)」といって、液体を経ずに直接、気体である二酸化炭素へと変化します。そのため溶けても水浸しになることはありません。ドライアイスは通常の気温、気圧のもとでは常に気化し続けます。
気体になると体積は750倍に
ドライアイスは固体ですが、気化して気体になると体積が増えます。
そのため、小さい塊だと思ってドライアイスを密閉した容器に入れておくと、どんどん気体になって二酸化炭素がふえていき、しまいには小さな衝撃で破裂することもあります。
二酸化炭素が増えるのは目には見えません。
ですからドライアイスの特徴を知って安全に使いたいものです。
ドライアイスの遊び方
ドライアイスの安全な取り扱い方を知ったところで、ドライアイスでいつもと違う経験をしてみませんか。ドライアイスだからこそできるちょっとした遊びをご紹介します。
もこもこしたスモークをたくさん発生させる
- 洗面器、バケツなどの容器
- 水またはお湯
- ドライアイス
ドライアイスが気化するとき空気中の水分にふれて蒸気が白くなるため、煙を出すように見え、スモークと呼ばれます。ドライアイスを水に入れると、より多くの水の粒に触れるため、もこもことした白いスモークをたくさん発生させることができます。さらに、お湯に入れるともっとたくさんの白い煙が出ます。
煙の中に立ったり、うちわなどであおいでスモークの流れを作ってみたりすると、ふだん味わえないふしぎな空間ができあがりますよ。屋外や部屋の換気をよくして試してみましょう。
消えないシャボン玉遊び
- ドライアイス
- うすめた液体洗剤などシャボン玉の材料
- ストロー
- 箱やボウルなど深さのある入れ物
箱やボウルなどにドライアイスを砕いて入れ、底に敷き詰めておきます。洗剤をつけたストローを吹いて、いつものようにシャボン玉を作りますが、このときにドライアイスを敷いた箱の中にシャボン玉を吹き込んでみましょう。
ふつうシャボン玉はゆらゆらと下へと落ちて、床や壁などに触れて割れますが、ドライアイスの上に落ちると、底まで落ちずに浮いているように見え、なかなか割れません。これもドライアイスが気化して炭酸ガスが発生し続けているからこそですね。
息を吹きこまずにふくらむ風船
- ドライアイス
- かなづち
- 風船
かなづちでドライアイスを叩いて小さく砕きます。細かくなったドライアイスのかけらをゴム風船に入れて、風船の口を縛ります。このまま風船の口を持って振って動かすと、中に入ったドライアイスが気化して体積がふえるため、二酸化炭素で風船がふくらんでいきます。
どんどん大きくなるので、ドライアイスの量と風船の破裂に注意しましょう。
ドライアイスでエアーホッケー
- ドライアイス
- 大きめの机や平らな台
- プラスチックのカップ
ドライアイスは常に気化しつづけているため、摩擦が起こりにくくなります。ドライアイスの塊を平らなテーブルなどで滑らせると、まるでエアーホッケーのようになめらかに転がります。
5センチ四方くらいのドライアイスをテーブルに滑らせ、プラスチックカップでショット! 自宅のテーブルでエアホッケーの対戦ができてしまいます。
ドライアイスでのおもしろ実験
ドライアイスを使うと、さまざまなおもしろい実験ができます。遊ぶだけではなく、化学の視点から、ドライアイスが昇華して二酸化炭素に戻るとどんなことが起こるのか、ドライアイスだとおもしろ現象がなぜ起こるのかを確認してみると、夏休みの自由研究としてもぴったりです。
スプーンで音を出す
- 金属製のスプーン、ボウルなど
- ドライアイス
ドライアイスを新聞紙などの大きめの紙の上に置き、金属製スプーンをドライアイスに当てます。すると、スプーンとドライアイスの接している面からベルのようなゴングのような不思議な音がします。スプーンもよく見ると小さく振動しているの確認できます。
スプーンのほかにも、金属でてきているボウルやコインなどでも試してみましょう。
金属は熱伝導にすぐれているため、ドライアイスと接触させると気化のスピードを早める作用があります。高スピードで二酸化炭素が発生することにより振動して音がするのです。どんな音がするかぜひお試しを。
触れずにろうそくの火を消す
- ドライアイス
- ろうそく
- マッチ
- コップ
ドライアイスをコップに入れると、ドライアイスが小さくなるに従って、気化した二酸化炭素がコップの底にたまっていきます。二酸化炭素は空気より重いため、蓋をしなくてもコップの底に沈んでいます。
このコップを、火をつけたろうそくの上で傾けてみましょう。空気より重い二酸化炭素がさらに下へと向かい、ろうそくの火のまわりに流れ込みます。火は二酸化炭素に包まれるため、誰かに吹き消されたわけでもないのに、ふっと消えてしまいます。
かんたん空気砲
- 使い終わった牛乳パック、厚紙でできた箱など
- 水槽や深さのあるボウル
- 40度くらいのお湯
- ドライアイス
- ガムテープ
- カッター
牛乳パックの上部の三角部分をカットして直方体にしておきます。牛乳パックや紙の箱の底にカッターで丸い穴を開けます。
水槽やボウルにお湯をはり、ドライアイスを入れます。白い煙がもくもくと上がるので、丸い穴を開けた箱を入れ、箱の中に白い煙が入るようにします。丸い穴のある面は上向きにしておきましょう。そのまま箱の側面を左右から軽く押すと、丸い穴から白い煙がポッと出てきます。
押す力やスピードを変えたり、軽く叩いてみたりすると、飛び出してくる白い煙の形が変わります。リング型の煙が出せるかやってみましょう。
ドライアイスを取り扱うときの注意点
さまざまな特徴をもつドライアイス。遊んだり実験したりするとき、安全に取り扱うにはどんなことに注意すべきでしょうか。
素手で触らない
ドライアイスはマイナス78.5度とかなりの低い温度です。手で直に触れると、皮膚を損傷したり、低温やけどや凍傷の恐れがあります。ドライアイスを掴むときは、必ず軍手など乾いた布手袋をつけて作業をしましょう。布手袋をしていても長く触ることは危険です。軍手を二重にしたり、ドライアイスを新聞紙などで包んだりして、直接手に触れないように十分注意しましょう。
密閉しない
ドライアイスは通常の気温、気圧では気体の二酸化炭素に変わりつづけます。発生した二酸化炭素が増えつづけるため、密閉容器に入れている場合は、中の気圧が大きくなり、蓋が飛んだり、最終的には容器ごと破裂する危険もあります。
ドライアイスを入る容器は、ペットボトルやガラス瓶などは避け、発泡スチロールなど蓋の取り外しやすい容器が安全です。
換気をよくする
二酸化炭素は空気より重たいので、低い場所に溜まります。空気中の二酸化炭素の濃度が増すと、二酸化炭素中毒になったり、頭痛、目まい、酸欠などが引き起こされてしまいます。
ドライアイスを使うときは、屋外や換気の良い場所を選び、室内の場合は必ず換気しながら取り扱いましょう。
食べられない
ひんやりしたドライアイス。氷のように食べられそうな気がしますが、口に入れるのは絶対にやめましょう。
そもそも食用に作られていないため衛生上の問題があることや、さらにドライアイスは非常に低い温度のため、もし口に入れたら、口腔内の粘膜に貼り付き、粘膜が剥がれて出血したり、凍傷や皮膚・粘膜の壊死などのおそれがあります。
決して素手で触ったり口に入れたりしないよう、とくに小さなお子さまがいるときは十分気をつけましょう。
ドライアイス遊びで化学への取っ掛かりに!
ドライアイスは、取り扱いに気をつけて正しく遊ぶことで、ふだんは知らない現象を楽しむことができます。ドライアイスが見せてくれる化学の入り口をぜひ体験してみましょう。
しかし、ドライアイスは若干の注意点もありました。
安全に遊ぶためにも細心の注意を払って実験や遊びを行うようにしましょう。
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