マーガリンがやばい、身体に悪いと言われていますがその理由はなぜでしょうか。
また、マーガリンが食べるプラスチックと言われる原因やその理由についても解説していきます。
マーガリンユーザーは大変不安ですよね。
ぜひその原因を知ってください。
マーガリンとバターの違い
マーガリンとバターの違いは、まず原料にあります。
マーガリンには
- パーム油
- なたね油
- コーン油
- 大豆油
- 綿実油
などの植物性の脂肪が使われています。
更にマーガリンには乳製品に加えビタミンA、乳化剤や着色料が別途含有しており、それらがコクと風味を出しています。
次に製造方法にも違いがあります。
バターは、牛乳を遠心分離機にかけてクリームを分離させ、その後クリームを撹拌機に入れて乳脂肪を凝集させます。
しかし、マーガリンは植物性油に水、食塩、乳、乳成分、ビタミンを加えて乳化させ、最後に冷やして固めます。
そのため栄養成分にも違いがあります。
大きな違いがあるのは皮膚や粘膜を作るビタミンAです。
この他に、細胞膜、性ホルモン、副腎皮質ホルモン、胆汁の材料になるコレステロールもバターは210mgと豊富ですが、マーガリンは5mgです。
バターとマーガリンの見た目は酷似していますが、これらの違いによって味わいや風味、栄養価も違いがあります。
バターはコクがあり味わい深い風味ですが、マーガリンはあっさりとした味わいです。
常温に戻さなければ硬いままのバターに対し、マーガリンは冷蔵庫から出してすぐの状態でも柔らかく使いやすいので、ご家庭にはバターよりもマーガリンが活躍する機会も多いのではないでしょうか。
マーガリンが食べるプラスチックと言われる理由
マーガリンはバターよりも値段が安く、冷蔵庫から出してすぐでも柔らかくて使いやすいことから、多くのご家庭で使われる機会が多いのですが、「食べるプラスチック」とも呼ばれています。
「食べるプラスチック」と聞くと「やばい食べ物」、「体に良くない食べ物」という印象が残ってしまいますね。
実際にマーガリンは「やばい食べ物」、「体に良くない食べ物」なのでしょうか。
「食べるプラスチック」と呼ばれるようになった理由について解説します。
マーガリンとプラスチックは可塑性であることから
バターやマーガリンに外側から力を加えると形が変わります。
力を加えるのを止めてもバターやマーガリンの形は変形したままで元には戻りません。
こうした性質を可塑(かそ)性と呼びます。
この可塑性を英語では[plasticity]と言います。
更に、熱可塑性のある合成樹脂を[plastic]と言います。
プラスチックとマーガリンやバターには可塑性という性質の共通点があります。
バターやマーガリンの持つ可塑性についての英語論文には[plasticity]と言う単語が登場することから、マーガリンとプラスチックが紐づけられ、最終的には英語の誤訳によってマーガリンはプラスチックという話が広まった可能性があります。
マーガリンが腐らないから
結論から言いますと、不純物を含まない油脂は腐ることがありません。
しかし、結論で言いました「油脂は腐らない」という基礎知識を知らない人の中には、腐ったりカビも生えないマーガリンが食品とはみなせず、その見た目や形状から「プラスチックのようなものだ」と批判したことが「マーガリンがプラスチック」というデマの始まりだったとも言われています。
J・フィネガン博士の著書の表現
今村光一さん訳のJ・フィネガン博士著「危険な油が病気を起こしてる」という本にマーガリンのことを「脂肪専門の化学学者たちは実際に、オイルをプラスチック化する」という言葉で表しています。
その理由は以下のことから考察されます。
マーガリンを製造する際、液体の油に「水素添加」することである一定の柔らかさも保ちつつ、常温でも個体のまま形状が維持できる状態を作り出すことができます。
しかし、この「水素添加」を行うとトランス脂肪酸が出来上がります。
マーガリンのトランス脂肪酸は体内へ過剰に取り入れると血中脂質が上がります。
血中の脂質異常がおこると循環器系の病気を引き起こす悪玉コレステロールが増えてしまうので、結果、体に良くありません。
つまりマーガリンが持つ、体に良くないトランス脂肪酸の危険性を誇張した表現として使われたのが「オイルをプラスチック化する」だったのです。
したがってマーガリンは本物のプラスチックは食べ物ではありません。
食べ物ではないプラスチックのような食品がマーガリンだと言わんばかりの表現を専門家が行ったとあれば、世間のマーガリンに対する印象は「やばい食べ物」、「体に良くない」となったのではないかと言われています。
余談ですが、実際にはプラスチックとマーガリンの大きさや構造はあまり似ていないのです。
プラスチックは高分子化合物であり、同じような構造が長く連なった物質で、含まれる炭素の数も数百以上にものぼりますが、トランス脂肪酸を含む食品中の脂肪酸は炭素の数は多くても22個程度で比べものになりません。次にトランス脂肪酸も含む脂肪酸には端っこにカルボキシル基という構造がありますが、プラスチックにはありません。この構造があるので脂肪酸は体内でエネルギー源として利用できるのです。
トランス脂肪酸は栄養素として体内で消化吸収して利用できますが、プラスチックは消化吸収できません。
https://news.yahoo.co.jp/byline/naritatakanobu/20151213-00052396/
上記に書かれているように、プラスチックのもつ炭素の数と、マーガリンが持つ脂肪酸の炭素の数は大幅に違いますし、構造も全く異なっていましたね。
何より一番の違いは、体内に取り入れた時、消化吸収できるのはマーガリンだと言うことでしょう。
このことから、著書の表現は油脂による健康被害を誇張するためにマーガリンのことを「オイルをプラスチック化」したという嘘の表現をしたことが伺えます。
マーガリンは身体に悪いと言われる理由
マーガリンが食べるプラスチックと言われる理由を紐解くと誤訳だったり、デマや嘘だったりしました。
それではマーガリンが身体に悪いと言われる理由は何でしょうか。
マーガリンは消化分解しにくい
マーガリンは柔らかく扱いやすいように見えますが、体内に取り入れた時は固形の油として消化分解が始まります。
固形の油を溶かすためにまず体は体温を高く保つ必要があります。
油を分解する体温を保つために消化酵素をたくさん使うので、補酵素であるビタミンやミネラルを体内で多く消費。
消化にビタミンやミネラルである補酵素をたくさん使ってしまうと、体にエネルギーを再生させる代謝が悪くなります。
代謝がうまくいかなくなると体にたまった老廃物を体外に出すことが難しくなります。
すると、エネルギーを生み出せないことから覇気がない様子が見られたり、老廃物を体外に出せない影響からアレルギーを起こすことがあります。
このことからマーガリンは身体に悪いとも言われるようです。
コレステロール値が悪くなる
前章で、マーガリンの柔らかさや硬さを維持するために「水素添加」が行われ、その際、副生成物としてトランス脂肪酸が作られることを解説しました。
このトランス脂肪酸を大量に摂取すると、悪玉コレステロールを増やして善玉コレステロールは減らしてしまいます。
いわゆる脂質異常が起こるのです。
すると動脈硬化が起こり、心臓病や脳卒中を引き起こす危険性があります。
活性酸素を発生させる
前章でもお伝えした通り、マーガリンはトランス脂肪酸を含む食品です。
トランス脂肪酸を大量に摂取すると、体内では活性酸素が発生します。
活性酸素が発生すると、老化現象が現れます。
見た目に起こる老化現象は、シミ、シワ、たるみ。
身体の内側で起こる老化現象は、動脈硬化、糖尿病、がん、老人性痴呆、脳腫瘍など、様々な病気リスクが高まります。
この他、免疫力を低下させるので、風を引きやすくなったり、または治りにくかったり、花粉症やアレルギーを発症させることもあります。
トランス脂肪酸は避けられるのか?
マーガリンに含まれるトランス脂肪酸が危険であれば、トランス脂肪酸を含む食品を避けた食生活を送りたいと考える人もいるでしょう。
しかし、トランス脂肪酸は様々な食品に含まれています。
例えば、牛肉や羊肉、チーズやバター、サラダ油、この他ショートニングを使った菓子パンや焼き菓子にもトランス脂肪酸は含まれています。
つまり、油を含む食品の多くがトランス脂肪酸を含んでいるため、三大栄養素の一つである脂質をとる必要がある以上、食べることを避けることができないということです。
では、トランス脂肪酸は1日どのくらいの量までなら健康に影響を与えないのでしょうか。
農林水産省では以下のように定めています。
トランス脂肪酸の摂取量を、総エネルギー摂取量の1%に相当する量よりも少なくするよう勧告をしています。日本人が1日にとるエネルギー量の平均は約1,900 kcalであり、この1%に相当するトランス脂肪酸の量は約2グラムです。
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_wakaru/#6
1日の総摂取カロリーが1900kcalだった場合、トランス脂肪酸は約2gまでなら健康に被害を与えにくいということです。
しかし、パンにマーガリンを塗れるのは2gまでということではありません。
例えば、ご家庭に多くあるマーガリンを例に挙げると、雪印メグミルクの「ネオソフト」の場合、10gあたり(パン1枚に塗る量に当たります)に含まれるトランス脂肪酸の量は0.08gです。
パン2枚にネオソフトを塗って食べても1日のトランス脂肪酸の目安をかなり下回ります。
体に良いマーガリンはあるのか?
マーガリンが体に悪い影響を与える原因がトランス脂肪酸にあることがわかりましたね。
マーガリン自体体に良いと言えないので、結論から言えば体に良いマーガリンはありません。
しかし、昨今のマーガリンにはこのトランス脂肪酸を抑えた商品なら販売されています。
この章では低トランス脂肪酸のマーガリンを紹介していきます。
雪印メグミルク ネオソフト
前章でもご紹介した「ネオソフト」は低トランス脂肪酸のマーガリンです。
トランス脂肪酸の含有量は10g中0.08gです。
パンをはじめ、お菓子作りや家庭での料理に使っても安心して食べらます。
雪印メグミルク バターのようなマーガリン
「バターのような マーガリン」も低トランス脂肪酸のマーガリンです。
トランス脂肪酸の含有量は10g中0.06gです。
バターのような食べ応えのマーガリンです。
雪印メグミルク ネオソフト べに花
「ネオソフト べに花」は更に低トランス脂肪酸のマーガリンです。
トランス脂肪酸の含有量は10g中0.03gです。
これはほとんどトランス脂肪酸が含まれていないと言えるでしょう。
「ネオソフト べに花」は健康への意識が高い人におすすめの商品です。
小岩井 マーガリン ヘルシー芳醇仕立て
「ヘルシー芳醇仕立て」のトランス脂肪酸含有量は10g中0.011gです。
マーガリンなのに香料といった添加物なしで芳醇な香りが楽しめます。べに花油を使用しています。
小岩井 マーガリン 醗酵バター入り
「醗酵バター入り」のトランス脂肪酸含有量は10g中0.027gです。
小岩井工場産醗酵バターと醗酵バターミルクを使っています。これによりバターの香ばしいさと深いコクが楽しめるマーガリンになっています。
マーガリンの代用品
企業努力によってマーガリンの多くがトランス脂肪酸を含む量が激減しています。
しかし、栄養価や健康へ配慮する人にとっては「マーガリンでは心配」という声もありでしょう。
そこで、マーガリンの代用としておすすめできるものを3つご紹介します。
エクストラバージンオリーブオイル
160℃以下で食べるエクストラバージンオリーブオイルにはトランス脂肪酸が含まれていません。
熱していないエクストラバージンオリーブオイルをパンにつけて食べると健康的です。
パン以外にもサラダのドレッシングにも最適です。
カッテージチーズやサワークリーム
カッテージチーズとサワークリームも原料である牛乳に微量のトランス脂肪酸が含まれているのですが、牛乳由来のビタミン類が豊富に取れて高たんぱくなことからマーガリンよりも健康的に食べられるので代用品としておすすめします。
淡白な味わいで、かすかな酸味がさわやかなカッテージチーズはパンに乗せて食べても美味しいですよ。
この他、サラダに使うのもおすすめ。
クリームを乳酸菌で発酵させたサワークリームもパンとの相性が良いのでおすすめです。チャイブを入れたサワークリームは味にアクセントがあってより食べやすくなるのでお試しください。
バター
バターの原料である牛乳にも微量のトランス脂肪酸が含まれているのですが、代用品としておすすめしたい理由は栄養価が高いことです。
マーガリンに比べ、ビタミンAが豊富なことの他、骨粗しょう症の予防に有効なビタミンD、止血の働きをするビタミンKといった牛乳由来のビタミン類が多く含まれているのです。
バターの香ばしい香りと深くコクのある味わいは、パンに塗っても良し、お料理に使っても良しです。
塩分が気になる人やバターの風味を生かしたお菓子作りをしたい人には無塩バターもおすすめです。
マーガリンが食べるプラスチックと言われる理由まとめ
マーガリンとバターの違いは原料と製造方法でした。
また、マーガリンがプラスチックであると言われるようになったのは、誤訳からでした。
ちなみにマーガリンはプラスチックでできているといった話はデマや嘘。
昨今の企業努力で、販売されているマーガリンに含まれるトランス脂肪酸の量は激減しています。
日本ではパッケージにトランス脂肪酸の数値を表示する義務がないため、店頭で商品を手に確かめることはできませんが、大手企業の場合、自社ホームページにて成分表を開示しています。
トランス脂肪酸を避けるのではなく、マーガリンも適切な量を守って他の食品とバランスよく取っていれば、深刻な健康被害は避けられます。
マーガリンがプラステックであるという嘘の情報に惑わされず、美味しく健康的にマーガリンをお召し上がりください。
トランス脂肪酸の排除にこだわりたいなら、エクストラバージンオイルがおすすめ
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